テイルズ
□全部分かってる
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図書室に入って、情報収集が始まった。
エミリーは一人でおもむろに資料集を眺めていた。
(嗚呼、私の故郷は・・・)
自分の故郷が気になり、調べたがやはりレグヌムに敗れ、傘下に収まっていた。
(レグヌムの一部になり果てたのね・・・私が必死に生き延びているうちに)
やはり、自分がどんなに死にかけても、故郷は恋しくなる。
だが、この資料によれば、人は飢餓し草むらだけの土地になったらしい。
(・・・私はそれでも生きている。生き恥をさらしながら)
古くに渡る自分の民族は枯渇した。
アルランヌ族。
それがエミリー。
末裔だ。
(アルランヌ族は全ての国の文化に共通点を残す文化を持っていた)
踊り。
言語。
風習。
全ての原点。
誇り高き民族だった。
(ますたーでさえ、私がアルランヌ族の末裔とは知らない)
今やどこの国でも強く根付いた国王から成り立つ政治はアルランヌ族のアルランヌ国統一からきているのに。
(しかも、私が最後の姫なんて誰も知らない)
エミリーは自分だけの秘密にしばらく奇妙な笑いを堪えていた。