テイルズ
□仲直り
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『嗚呼、お帰り』
リカルド達が帰ると、窓の修復作業をし終えたエミリーがリビングで微笑んで待っていた。
「すまない。エミリー。窓ガラス割っちまって」
アルヘイムは謝りながら椅子に座る。
『ますたー。それより闘ったんでしょ!?私とも闘って!』
エミリーはアルヘイムの背後から抱きつき、アルヘイムを揺さぶる。
「駄目だ。エミリー。お前が成長してから一本も俺が勝てねー」
アルヘイムは机に肘を付き、膨れる。
『拗ねないでよー!ますたー。私がもっと成長した姿をもっと見て感じて!』
「だってな。俺にだって昔のプライドが今でも残ってるの。だからだーめ」
アルヘイムは軽くエミリーのおでこを小突く。
『ますたー!卑怯者!意地悪!ケチ!私がますたーの弱い部分ついてから勝負してくれないじゃない!!』
エミリーはアルヘイムの首を腕で絞めている。
「ぐぇええぇ・・・離せ!!締まる!締まる!締まる!締まってる!!それより、リカルドが来てる!!エミリー!!来客に放置は不味いだろ!!」
アルヘイムは急にエミリーから解放され、机に思い切り顔面強打する。
「〜〜〜〜!!いってぇええぇええ!!」
『リカルド・・・』
「・・・」
痛がる恩師アルヘイムを無視してエミリーはリカルドと二人の世界に入る。
「戻ってこい。エミリー。俺にはお前が必要だ」
リカルドの言葉にエミリーは複雑な表情が顔に浮かぶ。
『私は・・・戻れない。戻らないよ・・・』
エミリーは力無く、首を横に振る。
「エミリーの過去をアルヘイムから聞いた。それでもやはり今の俺はエミリーが必要だ」
エミリーの瞳が大きく揺れる。
「なあ。エミリーさんよぉ。お前さんは、覚悟はもう出来てるはずだ。俺もコイツがお前さんに本気だと闘って分かった。だから今だけでも旅に同行してやれ。それが俺の、恩師の俺からと、保護者の俺からとの頼みでも望みでもある」
エミリーはアルヘイムに肩を叩かれた。
不意打ちにアルヘイムの唇にエミリーはキスをした。
「〜!?エミリー!!お前・・・」
アルヘイムは慌てるが、エミリーは泣いて微笑んでいる表情に黙る。
『さようなら。アルヘイム恩師。さようなら。私の初恋の人・・・』
そう呟いて、何度もアルヘイムにエミリーは気が済むまでキスをした。