テイルズ
□再びレグヌムへ
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エミリー達はレグヌムに向かうため、レグヌム峠に来ていた。
『またこの峠を越えるのかの・・・全く老婆の身体を気遣って欲しいものじゃ・・・』
嫌そうにエミリーは呟いた。
「そう言わないで。エミリーさん。橋が直ってれば楽できるかもだから」
コンウェイがエミリーを励ます。
突然イリアが立ち止まる。
「どうしたのイリア?」
ルカが問いかける。
「なんだかここって空気が乾いているせいか鼻がムズムズするのよね・・・ハ・・・ハ・・・ハックション!ハックション!!」
イリアがくしゃみをし終わると、ハスタが降ってきた。
『峠の上にいたか・・・不覚じゃ・・・胸くそ悪いの・・・』
「呼ばれてないのにジャジャジャジャーン!!」
ハスタは嬉しそうに槍を構えた。
「くっしゃみふたつで呼ばれたからにゃそれがハスタのターゲットさまよぉーっと!」
「あんたなんか呼んでないわよ!」
『全くその通りじゃ。貴様何しに此処に?』
エミリーは冷徹な瞳で銃を構え、ハスタを睨み付ける。
するとハスタは嬉しそうに喋り出す。
「やあやあ。マイハニー。あえて嬉しいよ。デートを楽しみたいところですが!でも俺はやることがあるのです!」
『依頼・・・?ふざけるな。このゲス』
エミリーの冷たい言葉にハスタは興奮してるのか、ブルブルと震え出す。
「一目惚れのエミリーに言われると興奮してしまいます!そして依頼とはレグヌムの枢密院から皆殺しにしてあげるでごしゃるよ!」
『全く大変な変態じゃ。老婆に一目惚れとは・・・?枯れとるの』
エミリーが構えの姿勢を崩した瞬間にハスタは襲いかかってきた。
『!?』
(またもや不覚っ・・・!!もう、駄目じゃ・・・避けきれん・・・)
「大丈夫か!?エミリー!!」
エミリーが諦めた時、自分の上から声が聞こえた。
『リカルド・・・?』
エミリーに抱きつこうとしたハスタとの間にギリギリに入っていた。
リカルドにくっついていたハスタをリカルドは蹴り飛ばす。
『リカルド・・・』
エミリーは突然のことで我を忘れてへたり込む。
『あたし・・・腰抜けて・・・立てない・・・!!』
リカルドが自分を護ってくれたことに安堵して、いつもの調子が崩れた。
「・・・!?そこで見てろ。エミリー」
いきなりの言葉のギャップにリカルドは驚いて顔を緩めたが、一瞬にして表情を張り詰める。
『でも!!』
「いいから見てろ。エミリー。少しぐらい護らせてくれ。見た目は・・・この世界での身体はまだ少女だろうに。強がるな」
リカルドの背中にエミリーは前世での記憶から引き継いだものではない“好き”と言う感情がこみ上げた。
それは純粋な少女のエミリーが初めて持った感情だった。