テイルズ
□ナーオス基地
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『ふぁ〜・・・暇じゃの・・・』
エミリーとリカルドは敵とはあまり遭遇しなかった。
廊下を歩いていると、前から人が走ってくる。
「っ!?エミリーさん!!」
ルカ達だった。
『おお〜。久しいのぉ・・・』
エミリーは拍手を鳴らした。
ルカ達はホッとする。
「良かったぁ〜。エミリーさん・・・!?」
つかの間、エミリーが銃を構える。
『悪いの。貴様等の連れが増えてるのが些か気になっての』
エミリーの鋭いツッコミにルカ達は武器に手をかける。
「ど、どうして戦うことになっちゃうのさ!エミリーさん!」
『ここは戦場じゃ。戦うことがここでは普通じゃ。ルカ共よ。貴様等を殺してでも今回の任務は実行せねばならんのじゃ』
冷徹な見下すようなエミリーの瞳に、その場の全員が凍りつく。
「・・・餓鬼共、アンジュ・セレーナと言う女を探しているんだが知らんか?」
沈黙を破ったのは、リカルドだった。
「はぁ?なんであんたにそんなこと・・・」
イリアがそう喋ると、頬に銃弾がかする。
『一人ずつ殺していくしかないようね』
エミリーの残酷な瞳にイリアは震えあがる。
「私です」
見かねたアンジュが前に歩み寄る。
『貴女ね。でも、仕事には貴女を引き止める者は排除してもよいと契約者は言っているの』
エミリーの仕事モードにリカルドは見かねたのか、遮るように間に入る。
「今のコイツは相当機嫌が悪い。契約者のせいだ。どうか、君だけついてきて欲しい」
「それなら、こうしましょう」
アンジュはペンダントをリカルドに差し出した。
「差し上げます。そちらの問題の契約者の契約を破棄してあげてください」
アンジュの慈愛溢れる笑みを向けられたエミリーは銃を下げた。
『仕方ない・・・貴女に従うとするかの。どうせ、釣り銭の契約をするつもりじゃろう。よかろう。貴様等全員守ってやるかの』
「あら?何故分かったのです?」
エミリーは今度は仕事モードと違った柔らかい老婆のような笑みで答えを返した。
『この品はそうゆうものじゃ。儂とて目はまだ腐っとらんよ。リカルドはどうするのじゃ?』
後ろからニヤニヤと冷やかしてくるエミリーにリカルドは溜め息をついた。
「おい。エミリー。俺はお前とパートナーを組んでいる。ついて行かなくてどうする」
リカルドの問いにエミリーは試すような問いかけで返した。
『なんじゃ儂のような老婆と別れて一匹狼をまた続けるのではないのか』
「冗談はよせ。今度こそ現世では死ぬまで護ると君に誓った。その目的をまだ果たしてない」
『ほぉ?餓鬼が一丁前に老婆を口説くか。ほほっ。愉快じゃの』
リカルドとエミリーの会話にルカ達は安堵したようだった。