短編集
□夢だよね?
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警察の事情聴取に付き合ってたら、予想してた時間よりも遥かに遅くなった。
『もういい加減に帰らせてください。明日は営業周りなんです。貴方が私の仕事を変わってくれるんですか?もう夜の2時なんですけど』
曖は丁寧すぎる事情聴取にうんざりしてイライラしてしまった。
「すみません、会社の方には連絡させて頂きますのでどうか気を落ち着かせてください」
『・・・それなら仕方ないですね。で?後何を答えたら良いんですか?』
曖は個性の発動しかかっていたのを抑えて渋々と席に縮こまった。
事情聴取は結局朝までかかり、9時頃に返された。
一応会社に連絡すると、大変だったね休んで休んでと上司が言ってくれたので休むことにした。
お風呂に入った後、ゆったりとダイニングルームでウトウトしながら、くつろいでいるとインターホンがなった。
『はーい』
曖はぼーっとしながら玄関に向かうとそこにはホークスがいた。
『うん?』
「昨日はご苦労様。これは昨日警察がなんか君に必要以上に事情聴取をしてたみたいだからお詫びの品だよ」
ふわりと花束を渡され、お菓子の入った可愛いカゴを手に持たされた。
『ありがとうございます。なんなら私の家でお茶でも飲んでいきますか?』
「え?いいんですか?ではお言葉に甘えて」
曖は昨日のことをとりあえず謝らないとと思い、彼を家に入れた。
『適当に座ってください。今用意しますね』
曖は花束とカゴを置いてテーブルの前に座布団を敷いて、テレビを付けてそそくさと台所に向った。
お茶のティーパックを電気ポットのお湯に付けてコップを出して注ぐ。
お盆に載せてダイニングルームに向かうと、ホークスは曖の集めた彼のグッズを見ていた。
『お茶持ってきました。冷めないうちに飲みましょう』
曖が声を掛けても彼はそこから動かない。
『ホークスさん?』
曖は返事もせずに佇むホークスの背中を見つつ、カゴのお菓子をお盆に並べた。
花は使っていないコップに入れて飾った。
曖はホークスのそばに行くと、ホークスはハッとした。
「いや、なんか俺もヒーローになったんだと思って」
『まだヒーローやって数年ですからね』
曖が微笑むと彼はむず痒そうに視線を逸したのであった。