短編集
□キス
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人が来ない体育館小屋に来ると肉倉は内側の鍵を閉めて曖にキスをした。
『ん、ん、ん』
バードキスの嵐に曖は戸惑った。
曖は肉倉を押し返すも、肉倉の腕力が上で押さえ付けられ、動けない。
やがて曖は大人しくなり、キスは止んだ。
「曖は私の伴侶だ。他の男に見せつけられて黙っているわけがない」
その肉倉の真剣な眼差しに曖の胸が高まる。
『せ、先輩、私なんか、私なんか好きになっても、本当に、本当に、腕を語るしか出来ないですよ?』
思わず肉倉の眼差しに曖の胸が高まり、言葉が詰まった。
「それでも構わない」
その肉倉の瞳で曖の心を射ぬかれた。
(どうしよう、こんなに胸の奥にダイレクトに刺さって胸がザワザワゾクゾクしたのって初めて)
曖は思わず自分の胸を押さえる。
『先輩、改まって、遅くなったけど、先輩のこと愛してます。真剣にお付き合いお願い致します』
「!!」
肉倉の目が輝いた。
「でも曖が改まるとは珍しいな」
『だってこんな心の奥をくすぶって胸がザワザワゾクゾクしたのって、人付き合いで初めてなんですもん』
曖はスカートの裾を握りしめた。