短編集
□キス
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曖はほんわり肉倉の評価のことをふわふわ考えながら放課後を迎えた。
(先輩忙しいよね)
曖は放課後の体育館で仮免許試験のために自主練習する肉倉と先輩を見て思った。
(邪魔するといけないし誰かにこの差し入れ頼んで帰ろ)
曖は腕フェチの仲で息が合った先輩に声をかける。
「え?肉倉に差し入れ?」
『はい。邪魔するといけない気がして』
曖が下を向くと先輩が不意に曖の顎を掴んで顔の前に引き寄せた。
『先輩、顔が近いです』
「いや、薔薇の香りがするから気になって」
『新作のリップです』
曖は異性の顔が近い中でドキドキしながら答えた。
「へぇ、いいリップだね」
先輩の顔がさらに近づこうとしたら見覚えのある肉片が飛んできて精肉されてしまった。
『大丈夫ですか?』
曖が精肉された先輩をつついていると、肉倉が来た。
『あ、肉倉先輩。ちょうど良い』
「・・・場所を変えるぞ」
肉倉は怒った顔でハーピーの羽ごと鷲掴みにして曖の腕を引っ張って走り出した。