短編集
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「・・・で?人さらいだと思って逃げ出したがいいが道がわからなくなってウロウロしていたと?」
黒ずくめの男性はリカルド・ソルダートと名乗った。
彼の家に引きずられて着き、たった今説明を終えたところだった。
「どう考えてもおかしいな。俺は依頼の仕事で戦場で死にかけているお前を助けたんだが」
リカルドは呆れている。
「お前は確かに助けてと呟いた。だから助けた」
『条件反射ですよ。人間そうゆう時の記憶は無いものですよ。医学的にもわかってることです』
アイが反論すると、リカルドは少し悩んだ。
「条件反射で名前まで返せるのか?」
アイは驚いた。
『え?名前知ってるの?』
「アイだろう?ハッキリと答えていた」
『でも記憶にない。知らない』
アイの断固とした答えに、リカルドは驚いていた。
「仕方あるまい。しばらくここで元の世界とやらに戻れるまで生活してくれて構わない」
『仕送りは?』
「俺が帰ってきたときにまとめて置いていく」
アイはリカルドの好意に甘えて滞在することになった。