短編集
□両片想い
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アイナはバカらしいと思った。
同時に気持ち悪くて吐き気がした。
『は?ゲス思考の人間だなお前』
一人目の密航者は震え上がる。
「だって!皆俺を一番に虐めてくるんだ!だから皆殺して欲しい!」
『じゃあお前が死ねよ』
アイナは躊躇いなく少年を撃ち殺した。
『じゃあ片付けてくるんで』
リカルドがアイナの手を掴んだ。
「お前はここで依頼者を守れ」
『は?お前子供逃がすだろ。皆殺しに出来るのは私しかいない』
依頼者も頷いている。
「脇腹、刺されてるだろ」
「いや、反抗されている。皆殺しにして欲しいからリカルド、お前は行くな。戦争孤児が暴動で一番面倒くさい」
リカルドは依頼者を睨んだ。
『はいはーい、おいしい仕事は私にお任せ★』
アイナはぴょんぴょん後頭車両に飛んでいった。
「おい、主。俺も行かせてくれ」
「子供相手に殺しが出来ない奴には無理だな。帰ってくるまで我慢しろ」
リカルドは握りこぶしを握った。
「アイナ、俺の気も知らずに」
今最高の笑顔をしてるアイナの事を心配してリカルドは呟いた。