ドラゴノーツ

□それでも時は止まらない
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トアがまた更に上空へ行こうとした。


「さようなら、ジン」


そう悲しそうに告げて、飛びだったトアに、アクチュアライズしたギオに、ジンという少年が飛び乗った。


「僕の・・・僕のギオが・・・」


カズキは憎しみの満ちた声を漏らしていた。


『くっ・・・スピリタス・・・アマギ・・・』


メロは死ぬ間際の二人を思い出して泣くのに一生懸命で、周りのことは、軽く入ってくるだけだった。


『くぁああぁぁあぁあ!!!!』


こみ上げてくる、発狂の狂気と、涙に、しばらくメロは泣き狂っていた。


涙が体の水分がなくなって止まるまで流し続けたメロは疲れて、その場に倒れ込んでしまった。


目覚めたのは、病室のベッドだった。


『・・・』


手足には、枷がしてあった。


『重い・・・』


すると、扉が開き、ライナが部屋に入ってきた。


「すまない。メロの処遇は1日の監禁なんだ。スピリタスのとき、指示待ちが出来なかったからね」


『・・・ごめんなさい』


メロは自分の頭を愛おしそうに撫でるライナの手首を枷のついた両手で掴んだ。


「君にはスピリタスの声が聞こえていたみたいだね」


『・・・うん』


ライナはベッドに腰掛けた。


「ハウリングスターはまだ、落ち込んでいるよ。スピリタスは彼の親友だったしね」


『でも、スピリタスもアマギもあの時、どちらも死ぬことを望んでいたの』


メロはまた涙がこみ上げてくる。


『生きるのを・・・諦め・・・ない・・・で・・・って・・・私、いい・・・たかった・・・』


「メロの必死さは、カズキくんが必死に伝えていたよ」


ライナはメロの髪から頬にかけてを撫でる。


『なんにも・・・まも・・・れなかった・・・なんにも・・・』


メロは涙を重力に従って流している。


「守れたんじゃないかな?彼等の思いは」


ライナは窓を見る。


『どう・・・して・・・?』


「彼等は最後の本当の心をメロに聞いてもらえた。誰にも分からずに死ぬよりは、心を君に託したから。なんにも守れなかったなんてないと僕は思うよメロ」


ライナは泣き続けるメロの額にキスをした。


 
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