短編集
□人になった猫
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「ただいま帰還しました」
グラハムはミッションからユニオン本部に帰還していた。
「お帰りグラハム」
ビリーがグラハムを迎え入れる。
「曖をフラッグファイターに入ってからすれ違っていたから今から会いに行きたいんだ」
「ああ、曖ちゃんならエドワード少佐から聞いたけど、日本へ帰ったらしいよ」
「なんと!?」
グラハムはいやな予感に背筋が凍る。
「それと、曖ちゃんが軍を抜けれるとか噂になっていて・・・」
「な・・・」
グラハムは息を呑んだ。
「グラハム、きちんと曖に連絡していたのかい?仕事のこと以外で」
ビリーの問いに、グラハムは最近の曖との、やりとりを思い出した。
言われたとおり、グラハムは仕事を優先する余りに、曖との会話を短縮していた。
『グラハムと一緒に・・・』
曖の電話を切るときに、曖は何かを言いかけていた。
「こうしてはいられん・・・!」
「駄目だよグラハム。君はフラッグファイターなんだ。次いつガンダムの襲撃があるか分からない。日本へ行っては駄目だよ」
ビリーの鋭い言葉に、グラハムは不満そうな表情になる。
「私は我慢弱い・・・」
「グラハム。気持ちは分かるけど、きちんと君の立場も理解しないと。元はといえば、君がフラッグファイターに彼女を誘っていればこんな事には発展しなかったんだ。」
「・・・流石我が友だ。ぐうの音もでないよ」
グラハムは両手を上げ、降参のポーズを取った。
「今日はゆっくり電話をしてみるといいよ。何か変わるかもしれない」
「いまやろうとしていたことだ」
グラハムは携帯端末を取りに、走り出した。