短編集
□猫は人を好きになった
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「彼女が今回の航空祭のパフォーマンスの手本を見せてくれる琵管大尉だ」
機関学校の教官が生徒に紹介を手短に済ませる。
『にゃーん!よろしくだにゃー!』
「こら!!!琵管大尉!!!示しがつかないだろう!!!痛いっ!!!」
『私を苗字で呼ぶな・・・この下種人間風情が・・・』
曖は教官の頬を爪で引き裂いた。
「こんなことをして!!!許されるとでも・・・」
『あんまりお堅い人だと部下の能力を殺しちゃうよ?にゃはー』
曖は殺気立った笑みで痛みにかがんだ教官を見下ろした。
「っ!!!」
『女だからってなめにゃいでね♪次やったら戦場で間違ってトリガー引いちゃうからー♪』
教官は曖の言うことが正論なので何も言い返せなかった。
『にゃはー!琵管大尉は無し!今度から曖りんちょって呼んでね!』
曖は手についた血を拭き、パイロットスーツの手袋を装着した。
そして、リアルドのコクピットに走って飛び乗った。
そして、思うがままに空を飛んだ。
(空は何も考えなくていい・・・私を主役にしてくれる!)
曖はわざと高度を低くして、生徒の頭のギリギリで空を飛んだ。
そこにいたグラハムと目があった。
(彼の目はキラキラしてる・・・まるで私みたい♪)
曖は空の上でハート、星、三角、円などの形を飛んで見せた。
『にゃはー!やっぱり空を飛ぶのは止めれないにゃー!』
曖の描いた空にはキラキラと光る粒子が残っていた。