短編集
□猫は人を好きになった
4ページ/13ページ
「嗚呼、曖くん。今日は君に折り入って話があって呼んだのだよ」
曖は上司のエドワード少佐に呼び出された。
『なんですかー?退屈しないのがいいでーす!』
曖はふざけた調子で片手をあげて話した。
「君に新入生へのパフォーマンスの見本をリアルドで飛んでほしい」
『かしこまー!!!もうエドワード少佐は私のこと分かっていらっしゃるんだから♪』
「パフォーマンスは今日の午後だ。もちろん曖くんなら練習はいらないね?」
エドワード少佐は期待の眼差しで曖を見た。
『にゃーん?誰に言ってるのかにゃー?』
曖は猫のように、窓から飛び出ていった。
「全く・・・ここは何階だと思っているんだ曖くん・・・」
エドワード少佐の呆れ顔に、地上から曖は金属の引っ掛け先がついたワイヤーをしまいながら答えた。
『私に飛び降りできない場所なんてないですよー?エドワード少佐?』
10階から飛び降りた猫は満面の笑みで走り出した。
「まさに猫だな・・・彼女は・・・」
その笑みは戦場では見れない曖にしては純粋なものなのだから。