短編集

□猫は人を好きになった
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「待って下さい!!!」


流石エリートなだけあってグラハムは現役パイロットの曖の軽々なランニングに食らいつく。


『やだ。曖りんちょ退屈だから付き合ってーあはははっ』


曖は眠たそうな声で更に加速した。


「え?琵管大尉!?」


グラハムは驚いた顔で追いかけてくる。


だが、楽しい追いかけっこも、部下のアレックスに止めらた。


「こんなところにいたんですか?琵管大尉!!!」


つまらない曖は筋トレがてらにアレックスの頭の上を飛び越える。


『そんなに堅いと重くなって木星の重力に吸われちゃうよー』


曖は筋トレがてらに飛び越えたアレックスの制服ポケットからペンを取っていたため、グラハムのプリントの白いスペースに自分のサインをしといた。


『はいこれ、エーカーさんにしくよろね』


曖は近くにあった学生用のリアルドで空を飛んで逃げた。


「ちょっと!?琵管大尉ー!!!!!!!」


怒り出すアレックスとグラハムは次の瞬間、曖のハチャメチャな運転に目を奪われた。


ハチャメチャながらも、どれも地上でやるには難易度が高い高濃度のGがかかる操縦だった。


「凄い・・・琵管大尉・・・」


「あの人は気まぐれでも戦場ではかなりサポートしてくれるんだ。部下になれて光栄だけど、気まぐれだからデスクワークやらせるのは大変なんだよ」


グラハムはアレックスのお小言など全く聞かずに、曖の作り出す空に魅入られていた。


 
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