短編集
□猫は人を好きになった
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琵管曖は猫と呼ばれるほど気まぐれなユニオンの大尉だった。
退屈するとすぐどこかに行ってしまう不真面目な猫。
パイロットで実力はあるが、ふらふら気まぐれな彼女は猫そのものだった。
そんなある日、彼女は軍の機関学校である人物を見かけた。
たまたまデスクワークの息抜きに、ふらふらと機関学校に立ち寄ったのだった。
『あら?こんなところに学生さんの資料?』
曖はプリントを手に取った。
『グラハム・エーカー・・・ふーん・・・』
曖は噂好きな部下が小耳に挟んだ情報で少しは知っていた。
機関学校で成績がエリートで期待していると。
『どうせ堅苦しい見た目で中身も暑苦しくて疲れちゃうんだろうな曖りんちょは』
ふらふらそこらを回り、人を探したが、いなかった。
『つまんなーい』
曖はプリントを手放してデスクワークに戻ろうとしたところ、やっと彼が現れた。
「すみません。そのプリントを返してほしいのですが」
グラハム・エーカーはふわふわした黄金の綺麗な髪の毛で、透き通り吸い込まれそうなエメラルドグリーンの瞳だった。
(綺麗・・・)
何故だか、曖はプリントを返したくなくなった。
『やだ』
「どうしてですか!?」
『なんでだろうね。分かんない。こっちが聞きたいよ!』
曖は筋トレがてらに走り出した。