短編集
□両片想い
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アイナは同職で同僚のリカルドに片想いしていた。
(今日の任務は一緒じゃない・・・おんなじ雇い主なのに)
アイナは列車の倉庫の見張り、リカルドは雇い主の護衛だった。
(もう少し一緒が良かった・・・まあ効率はいいけどね)
アイナは丁寧と迅速な対応を行うが、安く雇えるのがニーズなので、リカルドとは主義が違う。
(でもリカルドと同じニーズだったら一緒の依頼やれない)
まあ、たまたまに尽きるも、リカルドのオマケでリカルド直々に依頼をやってほしいと頼まれる事がある。
(それかこの思いを利用してるのかも。あり得る)
アイナはそうだったら嫌だと思った自分がおこがましいのに腹が立ち、壁をライフルでガツンと殴る。
すると音が反響する。
「ぎゃあ!!!うぉおぉおおぉおお!!??」
いきなり密航者が出てきたので依頼者に摘まみ出した。
『なんか見つけました。じゃあ戻ります』
アイナはリカルドをチラッと見て、後頭車両に戻ろうとした。
すると、アイナの脇腹に激痛が走る。
なんと前から二人目の密航者が居たのだ。
反射的に撃ち殺してしまった。
『あーあ、バカらしい』
アイナは脇腹のだるそうにナイフを抜く。
一人目の密航者はガクガクと震えている。
「化け物・・・ひぃ!こっちにくるなぁ!」
『ねぇ、後何人のってんの?答えないと手が滑ってそこの死体になるよ』
一人目の密航者はガクガク震えて質問以外の全部を話した。
「この物資の列車の乗っ取りをしようって皆で決めたんだ。俺ら貧乏で!戦争孤児で!人数は50人いる!列車がついたら全員でここの指揮してるやつを殺そうって!これで俺だけは許してくれるよな?」
一人目の密航者は媚びるようにアイナを見つめた。