犬と少女の十二ヶ月

□神隠し
1ページ/9ページ















『お姉ちゃんお腹空いたね。』





『そうね。じゃあ、今日は外で食べようか?』





『え?本当!?』





『うん。宏樹の好きなもの食べていいよ。』





『やったー!!んじゃ、僕ラーメン!ラーメンが食べたい!!豚骨チャーシュー大盛と炒飯と餃子!』




『そんなに食べれるの?』




『大丈夫だよ!だっても僕もう大きいもん!!』










「..き」




「...」




「宏樹!!」



「!?」




ガタンッ!



急に耳元で名前を呼ばれ、椅子から転げ落ちそうになった。



「うわっ。何だ五十嵐かよ!びっくりさせんなって。」


「いや〜お前があんまり気持ちよさそうに寝てるもんでなぁ〜」


ニヤニヤ笑う五十嵐。


「マジやめろ..」


「悪かったって!それより、とっくに授業終わったぜ。早く2組に行こーぜ!」


「あ?あぁ。」


宏樹は机の横にかけておいた自分の鞄に筆箱と教科書をしまうと、五十嵐と一緒に隣のクラスに向かった。


ガラガラ..



「勝也〜いるか?」


「おぅ。来たか。」


「誰もいないじゃん。」


「何か部活の集まり?みたいなので、皆早々と部室に行ったぜ。」


「はは。帰宅部の俺達三人には関係ねーな。」


「ちげぇねぇ。」


宏樹と五十嵐は勝也の席の前に椅子を持ってくると、鞄からいくつかの雑誌と地図を取り出し机の上に広げた。


「さぁ!ミーティングを始めるぞよっ!」


「誰だよ(笑)」


「それより、お前ら行きたい所決まったのか?」

勝也はピンクのマーカーを片手に、雑誌をパラパラとめくった。


「とりあえず俺は熊本城だな!あと、阿蘇山と熊牧場。それからカドリードミニオン!」


「カドリードミニオンで何すんの?」


「パン君と写真撮る。」


「仲間と間違われるんじゃねーの?(笑)」


「ちょっ!宏樹氏ぃ〜そりゃあんまりでっせ。」


「だから、誰なんだよ(笑)」


「分かった分かった。んじゃ、とりあえず熊本城は決定だな。」


キュッ..


「カドリードミニオンは?」


「カドリードミニオンは無しっ!1日でそんなに回れん。」


「え〜」


「それより、五十嵐。車は出してもらえそうなのか?」


「え?あ、あぁ。なんか兄貴がさ珍しく協力してくれそうなんだよね〜」


「えぇ!?あの五十嵐の兄ちゃんが?あのプー太郎の兄ちゃんが?!」


「いゃ、むしろプー太郎だから出してくれたんじゃね?」


「そうそう♪兄貴365日暇だからね♪」


「くっそwww」


「アニオタだっけ?」


「うん。だから、イタ車。あと車内はアニソンガンガンかけてくると思うから、そこは勘弁してくれっ。」


「(笑)んじゃ、とりあえず当日は五十嵐ん家に集合でOK?」


「OK〜!」


「決まりだな。」


そうして、三人はまた雑誌を広げながら、各々の行きたい場所をアレコレ話し合った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ