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□やっちまった企画!!ヒバツナキセキ!!!
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 高校入学を機に、綱吉は家を出ることになった。
 もちろん、原因はわがままな恋人だ。

 同じ高校に通うことを強制したのに、そのための勉強は手伝いもしない。
 勉強を理由に誘いを断ると、怒りまくって暴れる。
 それを必死の思いで叱ると、今度は拗ねて口を利かなくなる。

 綱吉の記憶では先輩のはずの恋人は、あまりにも子供っぽくこの冬を過ごしていた。


 そして、晴れて合格となったその日、彼はいきなり自宅に押し掛けてきて、
母に向かって綱吉くんと二人で暮らす許可を下さい、と言ってのけたのである。
 むろん、綱吉にとっても寝耳に水状態の発言に、母は笑顔で答えた。

「ツッくんをよろしくお願いします」

 親の許可を得た恋人は、これで怖いものはないとばかりの笑顔を綱吉に向けた。



 入学までのおよそ1ヶ月で、新居は決まった。
 恋人の親戚に不動産関係の人がおり、高校に近い、手ごろな新築マンションを見つけてくれたのだ。
 しかも最上階で、もっとも広い間取りの部屋で、リビングを挟んで二つの寝室があるという好条件だった。
 部屋を決めた後、恋人はこの部屋を買った。
 賃貸ではなく、購入したのだ。
 中学を出たばかりの綱吉には、貯金もほとんどない。
 一年しか先輩でない恋人が、どんな手を使ってそんな大金を手に入れていたのかは、恐ろしくて訊けなかった。

 とりあえずの家具類は、自分の部屋から運び込むことにして、家電やキッチン用品をそろえていく。
 男女なら新婚さんですか?と言われそうな買い物に、綱吉はろくに頭が回らなかったのだが。


 そんな新婚もどきな生活が始まって、高校生活にも慣れたころ、空き部屋だった隣にも入居者が決まったようだった。
 広い間取りのため、この階には二部屋しかない。貸し切り状態だった生活に、
新たな住人が加わることへの緊張と期待が、綱吉にはあった。

           
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