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□ウンディーネ
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ウンディーネ。 ウンディーネ。  と呼ぶ声がする
風が優しく私の頬を撫でる
目を開けると私の視界には風と一緒に舞う葉っぱと優しげな顔の男の人
さぁ、帰ろうか と口を開いた
でも瞼が重くってうまく開けられない
一回目をとじ、またあけた。
まるで遅い瞬きをするように
  
でもそこには舞う葉っぱしかなかった



目を覚ますと私は白くて柔らかい布団の上に寝ていた
そうだ、夢だったんだ。
と息をつき天井を見上げる いつもと変わらない茶色の天井



起き上ってベットからおり、鏡で自分の姿をみる
長時間寝ていたのに、寝ぐせはない。 いつもの白色のストレートだ。何回もみた青い目



そして、首にある“バーコード” のような黒い縦の線  私達はこれをバーコードと呼ぶ
そのままの呼び方だけど、これが一番しっくりする
私はこのバーコードの事があまり好きじゃない。
これじゃ、まるでお店の商品と一緒のようだ

自分の指でバーコードを強くこすってみる  とれない。  こすったところが赤くなり首にはバーコードと赤い痕だけが残った


自分の部屋をでてリビングへ おはよう とお母さんの声 
少しだけうなずいて 自分の席に座りトーストを食べる

私は昔から無口だった。  最近は「おはよう」も言っていない

パリ、と音を鳴らして私の口へとトーストは消えていった。
さっきの夢に出てきた人は一体誰だったんだろう。  あの優しい顔、どこかで見たことがある。 いや、違うんだ。 見たことがあるより、誰かに似ているような気がする なんだっけ、思いだせないや

と考えながらミルクを飲みまたトーストをかじった



お母さんがラジオの電源をいれ、チャンネルをあわす
ッジジジッジ...と聞こえのよくないノイズの隙間に途切れ途切れに女のひとの声


「またもや、リリスと名乗る団が現れたようです。 リリスと名乗る団はバーコードを悪用し他人からポイントをとるという、卑劣な行為を繰り返しているようです。地元の警察が調べていますが、いまだにわかってない事がおおジジッジ...ジジッジ  」
ここからは、全然何をいっているのかがわからなかった



ラジオの女の人が話している間に食べ終わった私は自分の部屋に戻りベットの上にもう一回寝ころぶ


その時からその時間から
私が平和と思えて、ゆっくりとした時間は消えた



ドンッ!!  と大きな音 次に、荒々しい声
「おいっ!! 誰かいないのか!! こっちに金を寄こせ!!」と入ってきた 
私は部屋からでようとしたが、向こう側から誰かがもたれているようで ドアがあかない

「なんにもねェな、この家は!なにか金目のものは...ってお前いいペンダントつけてんじゃねェか。それよこせよ。」

と荒々しい大きな声がドアの向こうでする

「こ、これだけはやめてください!」とお母さんが  「誰か!ここをあけて!」叫びたかったが恐怖で声が出ない

「さっさと、よこせ!」 という声とともにドアがガタガタッと揺れた。  誰かがぶつかったみたいだ

そしてお母さんの悲鳴
バタバタッと大きな声が部屋に響く

「おい!どうした! ヒーラー!」お父さんだ

ヒーラーッ! くっ、お前ら...! さっさとそこから離れろ!

の声の次にパァンッと乾いた音。
私はそれが何かすぐにわかった、
森で猟師が動物を狩るときに使う銃の音だ

お父さんは猟師だからその銃の音を前からよく聞いてた

荒々しい声の持ち主声とともにお母さんの悲鳴

「この! なにしやがる! 」とさっきのあらあらしい声の持ち主の仲間だろうか 
「こいつめ...!!くそ!」
「お前、やめろ!」 の声から、お母さんの声は聞こえなくなり

お父さんの声と銃声、 声と銃声が響き合った
耳が痛くなり、耳を押さえた
そして、目もふさいで座り込みすべてを塞いだ




いつまで、塞いでいただろうか。
もう、静かになっていた  荒々しい声の人たちはもう帰ったのだろうか

と、恐る恐るドアをあけた
あれ、さっきは開かなかったのに

ドアを開けた時私の目に飛び込んできた景色はまるで地獄のような場所だった
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