□永久の約束を君と
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「ほら」

「ん。サンキュー」

部活帰り。真っ暗な夜の道を木吉と日向は歩いていた。
日向に手渡されたコーヒーを飲みながら空を仰いだ。

「あっという間の一年だったな」

「ああ」

二人は今年で三年生に進級した。
ウィンターカップで名が売れたのか、今年の一年生は豊作だったのは記憶に新しい。
そして。
日向は視線を木吉の足に向けた。
ウィンターカップで無茶をしたために木吉は足を痛めてしまった。
今は療養中でもう、今年は部活に出ることは叶わないとわかっていた。

「酔狂な奴だな、お前」

「ん?何がだ?」

「部活終わるまで待ってて、一緒に帰ることだ」

「だって、一緒に帰りたいしな」

木吉はそう言ってコーヒーを飲む。

「……辛くないのか?」

部活をしたくてもできない身で、部活が終わる時間まで待つ。
辛くないわけがない。

「日向は優しいなー」

「今はそんな話してねーだろ!ダァホ!!」

優しいと言われ、顔を真っ赤に染めながら、日向は怒鳴った。

「でも、お前らともうバスケができないのは、辛いな」

そう、木吉はポツリと呟いた。
自業自得とはいえ、もう日向達とバスケができないことは予想以上に辛かった。

「何言ってんだ、お前は」

日向は木吉の肩を叩く。

「一生バスケができないわけじゃねーんだ。いつでもどこでも皆とやれるだろうが」

日向のその言葉を予想していなかったのか、木吉は目を丸くした。
そして叩かれた肩に手をやり、笑みを浮かべる。

「はは。たしかにな」

「…、ついでだ」

日向はそっけなく鞄から小さな箱を投げ渡した。
難なく受け取り、木吉は首をかしげる。

「開けてみろ」

「おう…。……え、あ。…マジ?」

「高校生の小遣いだし、たいしたもんじゃねーけどよ」

それはシルバーのリングだった。
邪魔にならないように鎖が着いており、ネックレスになっている。
そして見れば日向の胸元には同じリングがあって。

「まぁ、うん。誕生日おめでとう…」

最後の方は小さいが、日向はそう祝った。
木吉はしばらく鈍く光るリングを見つめ、我慢ならなかったのか日向に抱きついた。

「日向!!」

「どわ!?」

「サンキュー。すっげー嬉しい」

「お、おう」

ぎゅうっ、と抱きしめ全身で喜びを表す木吉。
日向は照れくさそうにそっぽを向いた。

「大好きだよ、日向」

「……おう」

夜の道は暗い。
そして、今日は木吉の誕生日。
だから、

「俺も、好きだよ」

日向はそう言って抱きしめ返した。



永久の約束を君と
(ずっと一緒にいる証を君に)

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