text-XWリレー小説

□第十一章

【SIDE:V】

二人の兄が仲違いをしている。

それは良くある事で、何ら珍しくもない。
けして嬉しくはないが、僕も大分慣れては来た。

だからW兄様の部屋の前でX兄様が立ち尽くしていた時も、また喧嘩したのか仕方無いなぁ、と思っただけだったのだが。

どうやら、今回は少し事態は異質らしい。

「っX....に、V?」

扉を開けると、ベットの上から僕達を確認したW兄様が少し驚いた様な声を上げる。

「なんでVが?」
「僕だってW兄様にお会いしたかったんですよ、W兄様がお部屋に篭ってしまわれたので、寂しかったんです」

W兄様の言葉に、僕はにこりとして答えた。

恐らくこう答えておけば彼の機嫌を損ねる事はないだろう。
僕はそう思案し、W兄様の表情を確認する。

W兄様は微妙な顔をして僕を見つめていたが、やがてふいと視線をX兄様に移した。

「X....お前はどういうつもりだ」

W兄様はそう言うと探る様にX兄様を見つめる。
上目遣いでX兄様に言葉を掛けるW兄様の姿は、妙に臆病な様子を感じさせた。

(あれ....?)

違和感。

僕は瞬間目を瞬く。

それは小さな違和感だったが、妙に胸に引っ掛かった。

(W兄様、何処か不安気....?)

僕の前で、W兄様が不安気な表情を見せる事はあまりない。
W兄様は演技が御上手で、例え辛い時でも、脆さを感じさせる様な表情はしなかった。

(....W兄様)

W兄様とX兄様は一体どんな喧嘩をしたのだろう。
これは、いつもの喧嘩の後とは少し、雰囲気が違った。




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