NARUTO
□ありがとう 後編
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「…すまない。」
そう言いながら近づいてくるイタチの唇を素直に受け入れる。
『…っふ…………ん。』
いつもより長いその口づけはこれが最後だと物語っているようで、、、
「名無しさん………。………名無しさん。」
何度も名前を呼ばれ、そのたびに涙が流れる。
どれだけの時間そうしていたのだろうか。
キスが終わり、目を開けるとそこには万華鏡写輪眼を開眼しているイタチの顔があった。
─しまった!
そう思ったときには時すでに遅しで、名無しさんの意識は闇に飲まれていった。
「……お前は俺のことを忘れた方が幸せになれる。」
イタチが意識をなくした名無しさんを抱き留めながら呟く。
そう。イタチが考えた最善の方法とはこれだった。名無しさんの記憶を消し、ほかの里へ預ける。木の葉では名無しさんのことを知っている奴が多すぎるし、なにより、何かのきっかけで記憶が戻ってしまう危険があった。
そう考えたイタチは万華鏡写輪眼で記憶を抹消した。もちろん日常生活で困らない範囲で、である。
「……ふっ。すべて俺の身勝手だな。許せ、名無しさん。」
半ば自嘲気味の笑いを含みながら、名無しさんの額にキスを落とす。そして名無しさんをかかえ、いつの間にか暗くなってしまった闇夜に消えていった。