‡story2
□狐の嫁入り
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ザアザアと激しい音を立てる窓の外をチラリと見て直ぐに視線を戻す
視線の先、壁際の液晶テレビの画面には純白に身を包み、幸せそうに笑う男女
まだまだ遠い未来ながら、いつか自分もこんなお姫様みたいに…と想像してはふ…と溜め息が零れる
(マリアがこのお姉さんみたいにお姫様になったらパパ喜んでくれるかな…
そう言えば…ママはどんなの着たんだろ…?)
脳裏には純白のウェディングドレスを着た自分を可愛い!!と抱き締めてくれる大好きな父親、キラの姿が思い浮かぶ
実際、その時になったらキラは号泣するのだろうが…
ふと浮かんだ疑問に、何度か見せてもらった母、ラクスのアルバムにはお姫様な姿はなかったような…と考え込む
「だぁ、ぶ!」
「あ!マリア見てたのにー…」
ペチン、と音を立ててリモコンを叩きチャンネルを変えてしまった弟、メグムに苦笑しつつ抱き上げる
『happyHalloween!!』
「ひゃっ!?」
テレビでいきなりオバケ達のアップになりビクリと肩を震わせる
目を瞬かせ、改めて見ると何度かキラに連れていってもらったテーマパークのハロウィンパレード特集だった
「仮装…そうだ!
ママー!カガリちゃんとお電話したいの!」
「はい?カガリさんにですか?
ちょっと待ってくださいね」
浴槽をスポンジで洗っていたラクスはマリアの言葉に手足に付いた泡を流す
リビングに戻りカガリに電話をかけ、マリアが話がある旨を伝え
マリアにはカガリの迷惑にならないよう、長電話しない事を約束させ風呂掃除を再開するべく戻る
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