‡story2
□雨の後の虹間
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その頃を思い出しながら苦笑いを浮かべポツリポツリと話す
「他の子が描き初めても、マリアはどうすればいいのかわからなかったそうです
園の先生から、他にも母子家庭の子も居たので
『他の家族でも良い』と言われて、園には私の絵を提出していましたが…」
『どうしてマリアにはパパが居ないの?
どうしてマリアはパパの事知らないの?』
脳裏に、涙ながらに尋ねて来た娘の姿が思い起こされる
『パパの髪の色は?おめめの色は?
どんなお顔なの?お声は?』
たくさんの質問を投げ掛けられて、言葉に詰まってしまった私に、幼いながらも触れてはいけなかったんだと悟ってそのまま父親の話題に触れなくなった
それでも、翌年の父の日にもまた幼稚園で似顔絵を描かされる
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