‡story2
□雨のち雨のち雨
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「うぅ…凄い雨ですわ…早く帰らなくては…」
バイトが終わって外に出てみれば激しい雨…
店長のバルトフェルドさんが店を閉めて送るか、と聞いてくれたけど家までは徒歩15分
しかも、まだお客さんも居るのだから、とお断りして傘だけ借りて帰路に着く
本当は走って帰りたいけど雨の激しさに足が進まない…;
「…変質者さんも、こんな日には居ませんわよね…」
仕方なく普段は変質者が多いから、と避けていた公園を通る
ここを突っ切れば帰り道は5分も短縮される
足元に跳ねる泥に眉を寄せながらも心なしか早足で公園を通り抜けようとしたら、
濡れた緑の中にポツン、と浮かぶ鷲色に気付き視線を向ける
瞬間、ドクリ、と胸が高鳴った
彼だ…たまに彼女とお店に来てブラックコーヒーを飲む彼…
彼女と来た次の日には必ず一人で来て、甘い紅茶と甘いケーキを幸せそうな顔で頬張って帰る彼…
その彼が、ベンチに腰掛け虚ろな目で噴水を見つめている…
こんな夜にどうしたの?
どうして、そんな悲しい顔をしているの?
たくさんの疑問が浮かび彼から目を離せずただじっと見つめていた
ふと頬に当たる雨の冷たさに現実に戻される
そして、ふと考える…
彼は、何時から居るのだろうか…?
私が来た時には既に服は水分を含みすぎて色が濃くなっていたし、暗闇なのに彼の肌は青白く見える…
このままでは、彼は死んでしまう…
思った時には彼に近寄っていた
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