‡story2

□バレンタインデイ
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「あ、そろそろお迎えの時間だ…」

公園の時計を見て、帰り支度を始める

「え〜!?メグムもう帰るのかよ!」

「うん、ごめん!マリアちゃん待たせちゃうからさ」

渋る友人に告げれば、しょうがないか、と溜め息を吐いて他の皆も帰り支度を始める

あと数分もすれば大好きな人が公園の入り口で優しく声をかけてくれる
直ぐに手を繋げるように、冷たい水道水で汚れた手を洗って、母が洗濯してフカフカのタオルハンカチで手を拭う

夕方のチャイムが鳴るほんの少し前…

「メグムー!お迎え来たよー」

「……なんで父さんなの?マリアちゃんは?」

公園の入り口で優しく声をかけて来たのは、自分とそっくりな…いや、自分がそっくりな父の姿だった

他のお迎えに来ている母親等、公園に居た女性からの熱い視線を物ともせずにキラは近付くと、グシャグシャと頭を乱暴に撫でられる

「あのねぇ…それが迎えに来た父親への第一声なわけ?
全く…仕事急いで終わらせたのに」

「それは嬉しいけど…僕はマリアちゃんが良かった」

「マリアはラクスと今お買い物…ほら、ちゃんとコート着ないと風邪引くよ」

言いながらしゃがんで目線を合わせてコートのボタンを締め、自分の着けていたマフラーを巻いてくれる

「ん…ありがとう…
って、マリアちゃんと母さんだけでお買い物!?なんで僕の事待っててくれなかったのかな…
それか、父さんちゃんと着いて行ってあげなよ!
マリアちゃんも母さんも可愛いんだから変な奴に絡まれたらどうすんのさ!」

「僕も着いて行くって言ったんだけど…来るなって…」

捲し立てるように告げれば、苦笑を浮かべて芝生に置いたままの自分の鞄を持ちながら手を握るキラを見上げる

ラクスもマリアもキラが大好きなのに、来るななんて言うとは珍しい、と首を傾げれば、ポンポンと頭を軽く叩かれる

「バレンタインの買い出しだから、男子禁制ですってマリアがね…」

「あ…もうそんな時期だっけ…」

言われてみれば、つい先日母ラクスの誕生日パーティーをしたばかりだ


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