‡story2

□【私は】お父さんの本当の娘だった【連れ子】オマケ
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数日後

「やっぱり、女の子だし…ツユリかな?」

「まぁ、可愛い名前ですわね」

検診で判明した性別に辞書を片手に夫婦で話し合う休日

「あ、お母さん、少しいいですか?
お父さんは、自分のパソコンからスレを見てください」

ひょこりとリビングに顔を出したかと思えばノートパソコンを開いてラクスの前に置くマリアに夫婦揃って首を傾げる

「お母さん、ここに書き込んでください」

「書き込む?えと…何を…」

「なんでも構いませんよ」

よく解らないまま、キーボードと睨めっこしつつ、人差し指で文字を打つ
変換もままならないまま、エンターキーを押したらどうも投稿されてしまったらしい

狼狽えているとマリアが画面を覗き込み手早く文字を打ち込む

(むぅ…キラに似てパソコンが得意みたいですが…キーボード見てない…)

両手で打ち込めるなんて、と驚いていると自室からノートパソコンを持ってきたキラが隣に腰掛ける

「ラクスの伝えたい事は代わりに僕が打つね」

簡単に画面についてを説明されて、状況を理解し、
これが二人がよく話している種チャンネルか…と感心する

流れるように会話が画面に次々と映し出され、更に質問にキラが次々と答えていく

「ラクス…これは、君が答えて?」

「え、でも…私パソコン苦手で…」

「いいから」

代わりに打ってくれるって言ったのに、と思いながら画面に表示された質問

それは、マリアが打ち込んだ文章

「……っ」

遅いけれど、なんとか精一杯の気持ちを文章にした

目の前にいるのに、直接言葉では言い辛くて、マリアもそうだからこんな質問をしたのかしら、と視線を向ける

画面に表示された解答を見て嬉しそうに笑うマリアに心が暖かくなる

そして、あっという間に書き込みが出来なくなったらしく、二人はそれぞれのパソコンを閉じる

「……」
「……」
「……」

なんと声をかければいいのか、全員解らなくてシンとしてしまった

「あの…妹…」

「ん?妹がどうしたの?」

「名前、決まりました?」

「うん…ツユリにしようかって話してたんだ」

ふわりと微笑んで話し合うキラとマリアは本の少し戸惑いながらも今までよりも更に距離が近付いた気がした


end
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