八犬伝
□雷鬼の願い
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「さて、もう帰ろうかな…
そろそろおやつの時間だし」
そういうと、信乃は勢いよく立ち上がった。
「もう行くのか?」
と、いっても俺もこれから仕事なのだが…。
不意に信乃が俺の方を振り向いて膝をついた。
そして…
チュッ……
触れ合うだけのキスをした。
「も、もし、俺の言った言葉だけじゃまだ不安だったら、俺自身がお、お前の不安を取り除ける存在になれたらいいなぁー…
なんって??」
「…なんって、にしては顔が赤いが?」
「うるせぇー!!
ばか八!!
もう俺行くからなっ!」
信乃は捨て台詞をはき、たったと走り去ってしまった。
フッ…
現八はふわりと笑った。
さて、俺も見回りに行かねぇとな。
それにしても、やっぱりあの子どもは不思議だ。
かなわないな。
まぁ、なんにしても……
「ありがとう…信乃」