八犬伝
□雷鬼の願い
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「現八?おーい。 大丈夫か??」
あの時、願わなければ…
ベチッ!
右頬に微かな痛みが走り、俺は現実へ引き戻されたようだ。
「おい、無視すんなよ!隊長さんよぉ!」
気づけば俺は信乃と小文吾の宿の庭に腰掛け座っていた。
「お前、今何考えてた?」
信乃が静かな目で俺を問い詰める。
やはりコイツには叶わないようだ。
「沼藺のこと…。
俺が生きてなければ沼藺は死なずにすんだらしい」
ドゴッッ!!
「ごふっっ!!ぐっあ……!!」
今度はわき腹に激しい痛み。
信乃が足で俺のわき腹を蹴ったらしい。
全く、器用なことを……。