It's my world

□5話
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『桃太郎さん。いま言ったこともう一度おっしゃってもらっていいっすか?』
「僕からもお願い…」
先ほど聞こえた“腐男子”という言葉が空耳であると信じて耳をすます。
お願い神様!!私の桃太郎像を壊さないで!!
「…??じゃあ俺は腐男子ですね!っていいましたけど…」
私の背後で桃太郎さんが粉々に砕け散った気がした…
「桃太郎くん…まさか…」
「え、あ、ち、ちがいますよ!?俺は見るのが好きであって、白澤様のことはそういう目で見てません!!」
『え!?』
「「え!?」」
「え、ちょ、霊歌ちゃん!?今の『え!?』って何!?」
白澤さんが私の両肩をがしっと掴み、前後に揺さぶる。
『え、って、わわわわっ!?白、澤さ、はな、して!!!??』
ちらっと横目で桃太郎さんを見れば「ご愁傷様です。」と私に両手をあわせていた。
いいから助けろばかやろぉぉおお!!!
『あ、もうだめ。吐く』
「え?」
「霊歌さん…!?」
『……う゛えぇ………』
「「ぎゃああああああああっ!!?」」
揺すられ過ぎて吐いてしまった。
あぁぁああああ………レディーが異性の前で吐くとはっ…………
『…………ッチ…これも全て白豚のせい…』
「霊歌ちゃーん。聞こえてるからねー」
そんな白豚さまは無視して…
『すいません…桃太郎さん。白澤のせいで吐いてしまったので雑巾と、まぁ色々用意してくれますか?』
「あれ、今さらっと呼び捨て…!僕と霊歌ちゃんの仲も進展した!!?」
「馬鹿にされてるだけじゃ………あ、今用意しますね。」
パタパタと桃太郎さんがぞうきんを取りに他の部屋へと消えていく。
そして、目の前で体育座りをしていじけている神獣さま。
少しいじめ過ぎたかな?
『あのー…ごめん。悪ふざけがすぎたね…』
「いいよ…別に僕なんて……」
あは☆完璧にすねてらっしゃるww
まぁ、色々お下品な文が多かったのでここは甘く…………………
『しょうがないなぁ…』
よしよし、と頭を撫でてあげる。
瞬間、膝に埋もれていたはずの顔がハッと起き上がった。
『…………っ!』
「……………………………」
二人は無言で数秒見つめあった。
しかし、その数秒は白澤にとってはとても長く感じた。
トクン、と白澤の心臓がはねる。
が、第三者のおかげですぐに我にかえった。
by白澤
「なにやってんすか?二人とも。ほら、霊歌さん。もってきました。」
『ん?あ、ありがとう!ごめんねー桃太郎くんもってこさせて!』
せっせと自分の吐いたものを片付ける。
桃太郎さんが手伝いましょうか?と聞いてきたがさすがに断った。
私だったら人の吐いたもんなんて片付けたくないもんね。
桃太郎さんは「わかりました、」と返事をすると、「ご飯の準備してきます。」と台所へ向かった。
そういえばさっき変なフラグ立った?
私は首を横に数回振ると、目の前の作業に集中した。
                                      
(桃太郎さん桃太郎さん。同盟組みません?)
(…?なんのですか?)
(もちろん腐女子腐男子同盟だよ!!)
(…いいですね!!)
(あぁぁあああああっ!!弟子が腐っていくぅううううう!!!!)
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