It's my world

□2話
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 桃太郎さんに『いってきます』と手を降り、白澤さんと一緒に店をでる。桃太郎さんはというと「いってらっしゃい」と笑顔で手を降り返してきてくれて、私が男だったら嫁に欲しいと内心思った。真面目に。
「じゃあ桃タローくん店番よろしくねー」と白澤さんがいうとまたまた「俺に出来ることはやっておきますよ」と笑顔で。
『良い弟子をお持ちになられましたね』
「うん、覚えも早いしね!すごいよ、彼は」
まぁこの会話は桃太郎さんには聞こえていないのだけれど。
「さ、霊歌ちゃんいこうかー」
『……あの、白澤さーん?』
「え?」
『え?じゃないです。』
ちら、と自分の手を見ると繋がれた右手。ふりほどこうと手を上下に勢い良く振っても離れる感じがしない。
『迷子になんてなりませんよ。なので手を離していただいて結構です。』
「わかんないよー?そんなこと。」
『…………………そうですね…いつ迷子になるかなんて…………』
うん。と一人大きく頷いてギュッと白澤さんの手をにぎりかえす。
なーんか子供みたいだなぁ…と内心少しすねながらも白澤さんと地獄へ向かった。
なんか喋る馬さんと牛さんのふたりのマダムに可愛い可愛いといわれたり、何もないところで思いっきりこけて白澤さん巻き込んで転んだりとかいろいろハプニングはあったもののなんとか地獄へ到着。
『あのー、すいません…ころんで…』
「ふふwwwいやぁ思いっきり転んだねww思い出すとw笑いがwwww」
『ちょ、笑いすぎですよ!!』
繋いでいないほうの手で照れ隠しにビシッとチョップをする。
「いて、」と聞こえたけど聞こえないふり…←
ちなみに、先ほどの文で気付いたひともいるとおもうがまだ手は繋いだままである。
『地獄ってあれですよね、拷問したり拷問したり拷問したり拷問したり拷問したりするところですよね?』
「いや、うん。まぁ大体あってるけど…そんな笑顔で言われても…」
『あ、誰か来ますよ』
少し遠くに人影を見つけ指をさす。
「あ、ほんとだね、こっちくる…………」
その人も私たちの姿に気付いたのかこちらをしばらく見て、何か足を元から拾ってこちらに投げた。
それはほんの数秒で白澤さんの顔面に直撃し、繋いでいた手は離れ白澤さんは後方に吹っ飛び転がる。ころんと白澤さんの横に石が転がり、当たったのが石だということが分かった。
『は、白澤さーん』
近くにしゃがみ込んでつんつんと木の枝でつつく。
「見ない顔ですね…この男のそばにいたら孕みますよ」
『あ、あれ?さっき白澤さんに石投げた人…ん?黒い白澤さん??』
「あ、すいません今なんとおっしゃいましたか?」
『いや、あの。ですから黒いはきゅたきゅしゃんに……あにょ…しゅいませしぇんれしら…』
両手でぐにーと頬を引っ張られ痛みに涙目になりながら謝る。
頬をさすりながら立ち上がるとほぼ同じタイミングで白澤さんが立ち上がった。
「霊歌ちゃんに近付かないでくれる?」
ずい、と私と黒い………誰かさんの間に白澤さんが割り込む。
あ、もし私が少女漫画の主人公だったら恋に落ちるパターンだな。なんて冷静に考えながらじっと黒い白澤さん似の人を見つめる。あ、角がある………牙も。
「………それにしても…白澤さん。地獄でデートですか。ずいぶんお暇なんですねぇ〜天国は。」
『デートじゃないですよ。閻魔大王様に相談があって…』
「あれ?僕さっき結構かっこいいこと言ったと思ったんだけど無視?」
「…そうでしたか。これは失礼。あなた名前は?」
『紬屋霊歌です。えーと、あなたは?』
「鬼灯です。失礼ながらあなたお仕事は…?」
『(職質?)えーと、学生でした。しばらくこちらにお世話になるのであれば白澤さんのお店を手伝いたいなー…って思ってます。白澤さんがよければ、ですが。行くあてもないし…』
いままで空気状態だった白澤さんが「お店手伝ってくれるの?」と私を見てきたので、その話はあとで、という意味をこめて笑っておく。
「霊歌さん…いくあてもない、とはどういうことですか?あと学生だったとは…」
『うーんと……話せばながいんですが…省略していうと…トリップしてきましたー((てへ☆ なので相談しようと…』
「な、何でそれをさきに言わないんですかー!!」
『え、えぇえええええっ!!?いや、だっていきなり初対面の人に「トリップしてきました☆」なんていわれても困るじゃん!!』
「鬼です!!」
『いますっごくそれどうでもいい!!馬鹿なの!?頭良さそうに見えて実は馬鹿なの!?』
 鬼灯さんは「どうしましょうか…」と顎に手をそえ考えこむ。あ、白澤さん空気。        →
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