novel-1-
□狡猾な男の添い遂げ方
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「おーい!リーシャ、いる?」
「あ、ジョニーさん。」
そこはエクソシストの憩いの場である談話室。
室内ではアレンとリナリーが2人で紅茶を飲んでいるところだった。
「リーシャなら修練場よ。朝から神田と鍛練してるみたい。」
ジョニーへ紅茶を差し出しながらリナリーは質問に答える。
「そっか…じゃあ仕方ないね。修練場に行ってみるよ。」
「リーシャに急ぎの用事ですか?」
「あぁ…うん。いい話題、って訳じゃないんだけど…一応、報告して欲しいって言われたから。」
「…ラビのこと?」
場に沈黙が落ちる。
重苦しい沈黙は柔らかな一言で破られた。
「ジョニー。私を探してるんだって?」
弾かれたように3人はドアの方へ振り返る。
そこには優しく微笑んだ彼女、リーシャ・リリーの姿があった。
「あ、リーシャ…。」
「ラビのこと、なにか分かった?」
「…うん。どうやら最後に目撃されたのはイギリスらしい。」
「そう。ありがとうね、ジョニー。」
3人の雰囲気とは正反対の、軽い調子でリーシャは外へと出ていこうとする。
「もう、追うのはやめたら…?」
リナリーにかけられた一言にリーシャは足を止める。
「どんなことをしたって、もうラビは戻ってこない。そう言ったのはあなたでしょう…?」
「…そうよ。だからこそ、私が、ケリを付けなければならないの。」
「…ラビは馬鹿ですから。言ってわからないなら力ずくで分からせるしかありません。でもそれはリーシャ一人で抱え込むことではないと思います。」
アレンの言葉に、リーシャは寂しそうに微笑んだ。
「…勘違いしてる。私はあいつの目を覚まさせるために探してるんじゃないわ。…あの時、逃がしてしまった敵を自分の手で仕留めるために探してるの。」
その一言を残して、彼女は談話室を後にした。