novel-1-

□散り逝く様は
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暖かな陽射しが部屋の中へと入り込む。
春の訪れを感じさせる柔らかな光とは裏腹に、室内の空気は冷たく張りつめていた。

「…はぁ。」

大きな溜め息が洩れる。
少年は眉間を押さえた。
外見の年齢と似つかわしくないその所作は、少年がいかに疲れているかを表していた。

少年は座高を優に越す書類の山と相対している。
それは最早日常茶飯事で、その書類を一人で片付けるのも、苦では無い。
にも関わらず、室内の空気が張りつめていてるのにはある理由があった。

彼は現在、この部屋に一人である。
たった一人で仕事をしている。
これこそが彼の心を荒ませている要因であった。
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