novel-1-

□スキ。
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ゆっくりと歩き出しながら、愛原は誰が好きなんだろうと考える。
ミクスドのパートナーで同じクラスの隣の席。そして同じ委員会。
普通に考えて一番仲のいい男子は俺…だと思う。
けど愛原には氷室哲也という従兄弟がいて、ソイツのことを[てっちゃん]とか呼んでたりする。
他の奴とは違う"特別感"があってすごく悔しい。
しかも従兄弟なだけあって哲也は愛原の小さい頃の事とかも知ってるし、[彩華]って当然のように名前で呼んでるし。
…かなり悔しい。
愛原に一番近いのは俺でありたい。
そんな独占欲さえ出てくる。
けど、俺と愛原はまだ知り合ったばかりだし、
アイツ、自分が可愛いって自覚してないし、
誰にでも笑顔向けちゃうからライバル増えるし…
「ホント、鈍感なんだもんな…」
「誰が?」
「えっ!」
声のした方を見ればきょとん、とした顔で俺を見る愛原がいた。
「お待たせ!遅くなってゴメンね?」
「あ、あんまり待ってないから。」
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