novel-1-

□スキ。
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愛原に一番近いのは俺でありたい。
その気持ちが溢れてきて、止まらない。
「愛原、俺…」
上手く言葉にならないのがもどかしい。
「リョーマくん。」
愛原の声に弾かれたように顔をあげる。
「明日、暇?」
「え?」
突然の事で驚きを隠せない俺に、愛原はふんわりと笑いかけた。
「いつも練習付き合ってくれたり、試合見に来てくれたりするお礼も兼ねて遊びに行きたいな、なーんて。」
花のような可憐な笑顔に緊張していた心が緩む。
「…うん。いいよ。」
「やった!じゃあ後で連絡するね!」
「ん。また後で。」
軽く手を振り、家に入っていく愛原の姿を見送り、俺も歩き出した。
一歩前進出来た気がして、柄にもなく舞い上がっている。
今はまだ伝えられないけど、いつか必ず伝えるよ。
俺は愛原彩華のことがスキ。ってね。
             End
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