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□真夏の蜃気楼
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黒髪ストレートで顔が良いだけのいけ好かない奴。
あいつの第一印象なんてそんなもんだった―――


『真夏の蜃気楼』


「…た…さ…た…坂田!」
「んぁ?」

眼が痛くなる程の青。

「お前またこんな所で寝て…干乾びるぞ」

そこに広がる眩しい白。

「…土方授業は?」
「んなもんとっくに終わってる。今は昼休みだ」
ほらよっと投げられた紙パックのいちご牛乳を受け取り、サンキュとストローを刺す。
土方は本当に気の利く奴だ。
「お前授業サボり過ぎ。伊藤が課題出すとか言ってたぞ」
「げぇまじかよ」

こんなに空が青いのだから室内に籠っているなんて勿体ない。

「それより今日部活休みになったんだ。一緒に帰ろーぜ」

―――なんて嘘。
本当はただ居たくなかったんだ。

「おー」


お前の居る、あの教室に。
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