彼と私のあいまい関係

□あいまい
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「なんなんだこれは!ふざけるのも大概にしろ!」

「はっはい、すみ、すみませっ・・・!!」





第104期生の中で私は一番の落ちこぼれだ。





実技はできない、座学はもっとできない、おまけにそうとう意思が弱い私。


「・・・うっ・・ぐすっ・・」


こうして夜になると宿舎の裏で泣くのが最近は日課になってきている。


それでも、兵士になることをあきらめたりしないのはきっと


「のぶこさん、大丈夫?はい、濡れタオル。目、腫れちゃうよ。」


いつも、アルミンがそばにいてくれるからだ。


「だっだいじょっ・・ぶじゃ・・ない゛っ・・」


「あぁもう。ほら、目こすっちゃ駄目だって!真っ赤になってきてるだろ。」


宿舎の裏で泣いていればいつも、どこからともなくアルミンがやってきてくれて、こうしてそばに一緒にいてくれる。

泣くのは嫌だけど、私は二人きりのこの時間が好きだ。


「・・ほら。目、閉じて。」


「・・・んっ・・。」


目の上に少し冷たいタオルを置かれて、気持ちが少し落ち着いてくる。


「で。今日は何があったの?いつもよりひどい様だけど。」


「・・座学のテスト、で・・・答えがふざけてるって。・・・それで、また怒られた。私は真剣に書いたのに。」


「何の問題?僕が教えてあげる。」


「・・・いい。アルミン、絶対笑うもの。自力でやる。」


「笑わないって。ちゃんと教えるよ?」


そういってニコリと笑うアルミンは、辺りが薄暗いせいか何かいつもと違った雰囲気を感じられて、思わず目をそらしてしまう。


「そ、そんなことより今日、まだギュってしてもらってない・・・」


「あぁ、はいはい。のぶこさんはこれ好きだね。」


一日一回は必ずしてくれるこのハグ。


「・・うん。好き、大好き。」


抱きしめられるのはもちろん好きだけど、私が本当に好きなのはアルミンなのに。

抱きしめさせて、こんな言葉まで言っているのに、毎回アルミンは私の気持ちに気づかない。

近いけれど、遠い、曖昧な関係だ。





幼馴染で、ずっと好きだったアルミンを追いかけて入団したけれど、

いつか、もっと立派な兵士になって、アルミンのお嫁さんになりたい。




だから、とりあえず今はまだそのときまで、あいまいな関係。

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