風と星の歌
□カミカゼ
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俺はとある企業に務める営業マン。
昔はバンドを組んだりして色々とヤンチャをやっていたが、今では全くだ。
たまにバンド仲間から連絡がくる位だ。
携帯が鳴る。
バンドでドラムをやっていた順也だった。
「おい、一樹、今日俺のバンドでベースの助っ人誰だと思うよ」
電話に出るなり捲し立てる順也。
今夜順也のライブに呼ばれていた。
ベースが風邪こじらせたとかで助っ人を探している話は聞いていた。
俺にも話は来ていたが、ブランクを考えろと断っていた。
書類を片付けながら尋ねた。
「知らねぇよ。誰よ」
「カミカゼだよ!
さっきセッションしたけどアイツやべぇわ。
ハウスのオーナーが知り合いだったみたいで呼び出してくれたんだよ。
お前、今日来るだろ?」
「カミカゼ」…その名を聞いて生唾を飲んだ。
伝説のような嘘みたいな噂が飛び交うベーシスト…
「おい、一樹?」
「あぁ、わりぃ。今日20時だろ」
「そそ、ちゃんと来いよ」
「あぁ」
そう答えると順也は電話を切った。
都市伝説だと思っていた奴の姿を目に出来る…
そう思うと興奮が沸き上がり、さっさと目の前の仕事を片付けにかかった。