モブ生活始めました。

□猫カフェのイチくん2
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毎週土曜日の習慣になりつつある猫カフェに足を運んで、私は受付からガラス越しの猫部屋を見て店長に詰め寄っていた。



『どういうことなの店長!?いーちゃ…イチくんが女の子に囲まれてるけど!?あんなに嫌がってるのにカメラ向けられてるけど!?』

2人の若い女の子にカメラを向けられ、壁に身を寄せて怖がっているいーちゃ…イチくん。


「いやぁ、なんか最近珍しい猫がいるってウチも話題になってね?イチくんちょっと人気なんだよね!」

『人気じゃねぇよクソ店長ぉぉぉ!?イチくんは私の永久指名なんですけど!?指名代とイチくん専用のおやつ代にいくら払ってると思ってんだコラァ!?スタンド出すぞ!?』


うっすらと背後に現れたリヴァイ。あ、リヴァイってこのライオンの名前です。あ、引いた?

店長は私から現れたリヴァイを見て、顔を真っ青にして震えだす。


『…あの子、私の子なんですよ。首輪、つけていいですよねぇ?』


クソ店長は震えながら首を縦に振った。






フッフーン♪こんな時のために大型犬用の首輪買っといてよかったぁ♡

いーちゃんカラーの首輪のネームプレート部分に、凛様専用!と書いて猫部屋に入る。

隅っこの壁に頭を押し付けてプルプル震えるイチくんに向かう。


『イチくんお待たせ!凛ちゃん来たよー!』


するとイチくんはおそるおそる顔を上げてみせた。

耳が垂れてなんだか目元が赤い。……クソ女共、よくも私のイチくんを!!

ギッ、といまだカメラを向ける二人を睨んで、イチくんの首にそっと首輪をつける。


「「「……え、」」」


カメラを向けた女の子たちも、首輪をつけられたイチくんも口を揃えて驚く。


『イチくんは私の子なんで』


そう言ってイチくんのふわっふわの毛並みを撫でて見せれば、女の子たちは唖然としたのちそそくさと猫部屋を出ていった。ーーーフフン、大したことないわ、小娘め。


これでイチくん独り占め出きるわ〜!とイチくんを見れば、顔を真っ赤にさせ、耳をピンッと立たせたかと思うと、猛ダッシュで隅っこにある段ボールハウスに入ったっきり出てこなくなった。……なぜ。

そんなに首輪嫌だったの?やっぱり引いた?だって指名料かなり払ってるし、猫カフェの中でなら首輪オッケーかなって!


結局その日は二度とイチくんを撫でることも愛でることも出来なかった。


いーもん!この後いーちゃんと一緒に帰ってDVD見るんだから!

……ってこの調子じゃそれも危うくない?逃げられる可能性大じゃない?


心配しながらも猫カフェの前で待っていれば、仕事を終えたいーちゃんが裏口から出てきて、気のせいでなければ私の元にわざわざ来てくれた。


「……なに。続き見るんでしょ。」


Oh,神は見捨てはしなかった!


『路地裏行くでしょ?いーちゃん。コンビニでエサ買ってこうね』

スタスタと前を行くいーちゃんに追い付いて声をかける。

「…ここからなら、アカツカマートの方が安いし品揃えいいんだけど。」

と、お得な情報を教えてくれたので、そこに寄ることにした。

『わぁ、いーちゃん猫缶いっぱいあるね!でも私はにぼしかな、やっぱ。あ、鰹節入りにしよっかな』

「それ外であげると風で飛んでくけどいいの。」

『え、それはよくないねぇ。じゃあ笹かま入りにしよっかな!』

「…いいんじゃない。」

『いーちゃんのエサは何がいい〜?』

「…手羽先。」

『好きだね〜!』





カートを押す私の少し後ろをついてくるいーちゃんを見て、私が一人悶え苦しんだのは言うまでもない。

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