モブ生活始めました。
□スタバァコォヒィ
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「成瀬せんぱーい!休憩にスタバァ行くんですけど先輩も行きませんか?」
別世界になってから新人の小宮ちゃんとは、とても良好な職場関係が続いている。
前の世界じゃ全然仕事してくれない上に、影で悪口ばかり言われたものだけど、今はこうして休憩に誘ってくれたりするのだ。
『スタバァってスタバァだよね?そういや行ってなかったなぁ』
スタバならある。しかしながらなぜかこの世界ではスタバァ。バァって。なんで伸ばす?
「会社の近くにできたんですけど私まだ行ったことなくて!先輩も行きましょ?」
と可愛く首をこてん、なんてされたら私、行くしかないでしょうよ!
ってなわけで来ました、スタバァ。
来た……んだけど………店員モブ6ですけどォォォォ!?
しかし奴はいーちゃんではない。いーちゃんの毛並みはあんなに綺麗じゃない。しかしながらもう1つ希望はある!
へ、兵長ォォォォ!!
ど、どうしよ!?もし神声モブ6だったら!?兵長にいらっしゃいませ、なんて言われたら!?し、死んでしまうかもしれない。
めちゃくちゃ高鳴る心臓を抑えながら、ゆっくりと店内に入る。
「いらっしゃいませ〜」
…………ち、違ったァァァァァ!!兵長じゃなかったよ!あの可愛い声の子だったよ!期待損だよ!だけど助かったよ!
「先輩何にします〜?」
小宮ちゃんに急かされて、同じものを頼む。
あー、中身はスタバだ。まごうことなきスタバだ。
なんだよ、色々がっかりだよ!
持ち帰りにしてもらった袋を持って店を出ると、なにやら背後で気配を感じて振り返る。
「あんれまー。こりゃまたハイカラな店だっぺ〜」
んん!?あれはモブ6!?ってなんて格好してんの、いーちゃん!?
「せんぱーい!早くしないと休憩終わっちゃいますよー?」
『あ、ごめん!すぐ行く!』
も、物凄く気になるゥゥゥゥ!!いーちゃん全然私に気づいてなかったけど、あの格好、北の国からじゃないっすか!?てか5人いたからあの中に兵長もいたよォォォォ!!なんてタイミング悪いんだ!しかもあのどこの馬の骨モブ6もいたはず!!くそぅ!目の前にいーちゃんの敵がいるはずなのに!!
あああー!知りたかったァァァ!!見たかったァァァ!!聞きたかった兵長ォォォ!!
「どうかしたんですか、成瀬先輩?」
『……なんでもないんだ、ちょっとタイミングがね』
様子のおかしい私を気遣う可愛い後輩に、流石に説明できない私はうやむやに答えるしかなかった。