【双銀】続・番外編
□夏だ!プールだ!水着だ!
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「夏と言ったら蘭時の水着姿じゃき!!」
「いや、久しぶりに現れて何言っんの、お前」
万事屋に突然現れた親戚のおじさん……もとい坂本辰馬。
彼が何故万事屋に来たか…………それは蘭時の水着姿を見るため、蘭時とその家族をプールに招待するためだった。
「わしはど〜しても蘭時の水着姿が見たいんじゃ!その為にはおまんら家族をダシに使うしかなか!家族がプールに行きたいとなれば蘭時も重い腰を上げるぜよ!」
「いや、つーかその家族の一人に夜兎がいんだけど。蘭時は神楽を溺愛してんだぞ?太陽に弱いアイツを連れてプールなんか行くわけねーだろ」
「だから宇宙移動屋内プールを貸し切りにしたき!蘭時の水着もこのとおり準備してあるんじゃ!あとはおまんら家族が蘭時を丸めこんでくれればいいだけじゃき!アハハハハ!」
真っ赤な紐に近いハイレグ水着を取りだし豪快に笑う辰馬に、待ったをかけたのは……………
「ーーーその話、私も協力させてもらいますよ。ーーーただし水着はこの虎柄ビキニでお願いします」
「てめぇこのストーカー野郎!どっから湧いて出た!?」
「ストーカー等と人聞きが悪いですね。これだから凡人は嫌なんですよ。たまたま私が蘭時さんの警護をしていたら貴方たちがプールに蘭時さんを誘うと言うので参上したまでです」
「明らかに盗聴だろうがァァァァ!それにその虎柄ビキニは蘭時の使用済みじゃねーって言っただろうが!そこの声が大きい人が勝手に贈ったやつだからな!」
「ーーーーーっ!」
「見たことあるビキニだと思っとったが、わしが蘭時にあげたヤツじゃったのか!」
「…………貴方が…………虎柄ビキニを…………」
蘭時の使用済みと信じて真空パックされたビキニ片手に、異三郎はショックのあまり固まった。
「ハハハハ!馬鹿め!蘭時が貴様のような幕府の犬に使用済み水着を贈るはずなどなかろう!その水着、俺が預かっ…「使用済みじゃねーって言ってんだろがヅラァァァ!!」…ぐぶふぁっ!?」
「つーかんな水着蘭ちゃんに着せるわけねーだろうが!んなもん着た日にはプールが俺たちの鼻血で血の海になるっつーの!大体蘭ちゃんに似合う水着と言ったらこれだろ」
そう言って銀時はタンスの奥から白に赤い花柄のビキニを取り出す。
いつか着てもらおうと、数年前に購入したものだった。
自信あり気にビキニをかざす銀時に、水を差したのはこの男。
「ーーーハッ!アイツに白はねぇだろ」
たまたま万事屋に立ち寄った土方が、鼻で笑いながら入って来た。
…………………何故か黒いビキニを持ちながら。
「てめぇも盗聴かよ!?」
「ばっ、んなわけねーだろ!俺はたまたま………そう!この水着がそこの商店街の福引きで当たったから!アイツにでもやろうかと思ってだな…」
「へぇ〜。てっきり銀さん、自分色に染めたい変態野郎が一人で女物の水着、物色して贈ろうとしてんのかと思ったんだけど」
「べべべべ、別に、そんなんじゃねぇ!!」
「あれ?なんか顔赤くない?多串くん?なんか汗もハンパないけど?」
「そ、そそそそそんなことねぇだろ!」
男達がくだらない論争を繰り広げる中、ずっとその様子を冷めた目で見ていた高杉が口を開いた。
「……………おい。蘭時は競泳水着以外着ねぇぞ」
その一言を残して万事屋を去っていく高杉を、5人の男たちは呆然と見送る。
……………………え?なんでアイツが蘭ちゃんのそんなこと知ってんの?
……………………しかもあの口振りから察するに……………………
……………………見たことあるみたいじゃったの………………………。
……………………一緒に行ったってことですか?
……………………つーかあの勝ち誇った顔……………………ムカつくんですけどォォォォォ!?
結局蘭時をプールに誘うことが出来なかった男たちだった。
オマケ。
「ねぇマミー。俺プール行きたいんだけど」
「いいですねィ。大江戸プール貸し切っていきやしょう」
『あぁ、そういやどこも連れて行ってやれてないしな』
「ヤッホーイ!マミーとプールアル!」
「楽しみだね、神楽ちゃん!(耳栓鼻につめとかなきゃな)」
大人たちが誘えなかったプールに子供たちが難なく誘い、そしてそのプールに当たり前のように現れる高杉の姿があったことなど、大人たちは知らない……………。