死龍の軌跡

□二十七章
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数日前

それは出航前の事だった。


??「すいませ〜ん!!」

まさにエリウッドが乗り込もうとした時、いきなり三十代くらいの男性が息を切らしてこっちに向かってきた。

エリウッド「??」
マーカス「貴様!エリウッド様に対して失礼であるぞ。」


すぐさまマーカスが睨むが男は一切気にせずエリウッドに話しかける。

エリウッド「えっと・・・あなたは?」
??「僕は、カナスっていう学者くずれなんですけど・・・研究のため、ヴァロール島に渡りたかったのにみんな断られてしまって・・・それで、君たちに便乗させてもらえたら・・・ってダメかな?」

【魔の島】に渡るだけでも変人扱いされたのにこの人はさらに上をいっているようだ。


エリウッド「構いませんが私達は・・・」
カナス「あ、もちろん戦いの手伝いぐらいはするよ。古代魔法・・・俗に言う「闇魔法」だけど、それなら少し使えるんだ。自分の面倒くらいは、みれるからよろしく頼みます。」

この部隊に闇魔導士はいない。それに詳しい彼が加われば攻略が楽になるかもしれない。こうしてお互いの利害の一致から同行することになった。



カナス「・・・いますね・・。」

敵船に乗り込もうとするときカナスが何やらぼそりと呟いた。

ルセア「どうかしましたか?」
カナス「いえ、敵にも僕と同じ闇魔導士がいるなって思っただけです。」


それも自分よりも深く闇に入り込んでますと付け加えるとカナスは魔道書を取り出し詠唱した。そして不気味なナニカが敵の命を奪い去っていく。

ルセア「すいません。カナスさんは'ゲスペンスト'という魔法をご存知ですか?」
カナス「?ええ。でも扱える人は極めて稀ですよ。」
ルセア「そうですか・・・実はついこの間、その魔法の攻撃を受けたのでどれほどのものか知りたかったので・・・。」
カナス「それは・・!よく無事でしたね。」
ルセア「はい。生きているのが不思議な・・・」


【ザシュ!!】


レイヴァン「喋ってないで戦え。魔導士の増援に手を焼いている。」

ルセア「すいません・・・。」
レイヴァン「行くぞ。」

レイヴァンは淡々と敵を倒しに向かったが


【ゾクッ】

カナス「・・!!?」

何かを感じ取ったのかカナスは身震いした。


ルセア「どうかしましたか?」
カナス「い、いや・・・。」

ルセアは特に気にすることもなく戦場に戻っていった。


カナス「(今の気配・・・敵からじゃなく味方からした・・・一体誰が?)」


カナスは周りを見渡すが既にその気配はない。暫く考えるうちに勘違いだと無理やり結論づけて戦いに戻っていった。
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