死龍の軌跡

□二十六章
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リン「大丈夫なの?エリウッド。」
エリウッド「流石にまだ動かせないけど数日で剣は振れるそうだよ。」

セーラによると貫かれた時、奇跡的に(?)筋を避けたところを貫かれ杖の治療でなんとかなったのである。


ヘクトル「けっ!何か気に入らねえ!」

爆発を直撃しつつも持ち前のタフさでヘクトルの方も後の戦闘にはあまり影響はなかった。他の兵士たちも激戦の割には命に関わる怪我はなかったようだ。


エリウッド「リンディス・・・少しいいかい?」
リン「ガリアスのこと?」

ヘクトルも気になることがあり会話に入った。


エリウッド「二人の話を途中から聞いていたんだけど彼は・・・」
リン「えぇ、彼は竜よ。」

二人は思った以上に驚いていなかった。


ヘクトル「じゃあ、一年前のアレもアイツ一人でやったのか?」

アレとは言わなくても分かった。

リン「そうよ。彼が一人で殲滅したわ。報告しても誰も信じてくれなかったけど。」


盟主ウーゼルも表向きには信じていなかったがこのことは内密に扱われヘクトルでさえ噂程度の情報しか知らなかった。

リン「しんじてくれる?」

二人の返事は決まっていた。


エリウッド「信じるさ。」
ヘクトル「むしろ納得したぜ。」


古くから伝わる【断絶鬼】のお話。子どもが悪いことをするたびに親からおててを持っていかれると話された。一体何年生きているのか分からなかったが竜だとわかると案外呆気ないものだった。竜は人間には考えれないくらい長く生きるのである。


ヘクトル「しっかし、足止めを喰らっちまったな。」

海賊団の方も重傷者はいなくても動けないものが多数出ており難航していた。お頭のファーガスでさえ「見たことのないローブの男に翻弄された」と言っていた。


エリウッド「出航は次の日に延期になったそうだ。」

リン「・・・・・。」


海賊船に乗ることを思い出しリンは黙り込んでしまった。

ヘクトル「おい、気持ちはわかるけど我慢しろよ。これしか手段がねーんだからな!」
リン「わかってるわよ!だから、黙ってるじゃない。」


だが、ガリアスの試練を乗り越えようやく【魔の島】に行けるようになったのは違いない。

エリウッド「父上・・・どうか御無事で・・・。」

エリウッドは魔の島の方向で祈った。  


                二十六 完
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