死龍の軌跡

□二十六章
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リン「ガリアス!」

リンはマーニ・カティを納めると直ぐにガリアスに近付いた。しかし、彼は刀を前に突き出した。


ガリアス「俺がお前達の前から姿を消した理由は三つ。」
リン「え?」
ガリアス「一つは竜と皆にばれたのが怖かったから。二つ目はお前達が【黒い牙】やネルガルに挑める最低限の力があるか確かめるため。」
リン「そんな・・・。」

最初の一つはガリアスの杞憂に終わったが次のは皆の為に敢えて嫌われ役を自ら買って出たのだ。


ガリアス「最後の一つは俺が【黒い牙】の標的にされた事だ。」
リン「!!」

フラフラになりながらも脱ぎ捨てたローブを拾い上げると【黒い牙】の紋章が入った布切れが沢山出てきた。


リン「(これって・・まさかたった一人で黒い牙の支部を潰して来たの!?)」


ガリアス「俺を狙う集団はあと一つだ。そうすれば暫く奴らも大人しくなる。」
リン「だったら私も一緒に・・・」
ガリアス「そうすればこぞ・・いやエルバードは助からない。それにこれは俺の問題だ。俺一人でかたをつけるのが筋だ。」
リン「・・・・・。」


ずるい
そんな事言われたら何も言い返せない。



ガリアス「だが、それが終われば必ずお前達の所に行く。」
リン「それって母なる大地に誓えるの?」


いつの間にか倒れていた三人が起き上り話を聞いていた。

ガリアス「あぁ、誓うよ。母なる大地とわが主君、エリス様の名に誓って。」

最後にガリアスが微笑むと


ガリアス「じゃあ、直ぐに向かうから・・・」

そう言うと踵を返してガリアスは海に飛び込んだ。


リン「ガリアス!?」
ヘクトル「待ちやがれ!!」


ヘクトルとシルフが追いかけたが既に誰もいなかった。


リン「・・・・ばか。」


リンの髪が風になびいた。


















ガリアスの戦闘では驚くことに海賊団の方さえ死者が出なかった。(本人が試すためと言ってたので当然と言えばそうでもある)
だが、不思議なことに街の南部にある闘技場付近で身元不明の惨殺死体が数人発見された。
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