死龍の軌跡

□二十五章
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そんなことは露知らずリンは未だに乗せてくれる船を探していたがついに最後の一人にも断られてしまった。


リン「・・・やっぱり船なんて見つからなかった。島に渡るために・・・仕方ない、海賊船でも我慢して乗るしかないわね。」

トボトボ歩いていると次第に街の人が慌ただしく動いているのが分かった。

リン「!! なに?急に、町中が騒がしく・・・」

駆ける足を速くして皆に合流するとヘクトルがリンに気付いた。

ヘクトル「おう! リン!!ちょうどよかったぜ。おまえも戦え!」
リン「海賊と戦ってるの!?」
ヘクトル「違え!ガリアスだ!」
リン「!?」

【ビュンッ!!】

突然、二人の間を騎竜が駆け抜けた。

ヘクトル「チッ!詳しい話は後だ!!」
リン「そうみたいね。」

二人は竜騎士と向かい合った。騎手は臙脂色の髪をしたリンと歳の変わらない女性だった。


ヘクトル「来るぞ!」

槍ではなく斧を持った竜騎士は急降下で斧を振り下ろした。二人は何とかかわすが反撃をする前に上空に避難された。

ヘクトル「くそっ!届かねえ!!」
リン「(・・なら!)ヘクトル!あの竜騎士を引き付けて!!」
ヘクトル「あぁ?わかった!」

ヘクトルは手斧に持ち替え竜騎士に向けて投げ出した。騎手はヘクトルに向けて突進しだした。

ヘクトル「くっ!」

突進される直前に鉄の斧に持ち替え攻撃を受け止めたが相手は女性とはいえ飛竜の力が合わさって苦戦していた。押し負けそうになった時、ヘクトルは叫んだ。

ヘクトル「今だ!!」

ヘクトルが叫ぶと竜騎士は退避しようと飛び立った。だが、三メートル程飛んだときに


リン「今度は逃がさないわ!!」

予め民家の屋根に潜んでいたリンが竜に飛び込み竜騎士と一緒に落ちた。

ヘクトル「オラァ!!」

騎手が落され動揺した竜はヘクトルが仕留めリンは落ちる間際に騎手の胸を小刀で突き刺した。

「王子・・マケドニアをどうか・・・。」

女はそう言い残すと先程と同じく霞のように消えた。


リン「何これ・・」
ヘクトル「アイツが召喚した兵士だ。そこそこのそこいらの兵士よりも強いぞ!」
リン「・・・・。」

リンは何も言わずに何処かに向かおうとした。


ヘクトル「どこに行くつもりだ。」
リン「ガリアスの所よ!」
ヘクトル「奴は前みたく本気で殺しに来るぞ。一人で行けんのか?」
リン「行かなければ【魔の島】に行けないわ!」
ヘクトル「そうじゃねえ、アイツを斬れるのか?」
リン「っ!」

その言葉にリンは少し黙ってしまったが直ぐに口を開いた。


リン「斬る斬らないより一発殴らないと気が済まないわ!!!」
ヘクトル「お、おう・・。」

何だか敵と戦うより殺気が強かった。余程、放置されているのが許せなかったのだろう。これ以上言うとこっちも斬られかねないので何も言わなかった。



リンが離れていくと待っていたかのようにオズインらが合流してきた。

オズイン「馬に蹴られずに済みましたな。」
ヘクトル「俺だってそれくらい気は使えらぁ!」


何時ものように小言を返していると敵兵がこっちに向かってきていた。

ヘクトル「行くぞ!」
オズイン「はっ!」
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