死龍の軌跡
□二十四章
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レイヴァンが去ってから数時間後、牢獄からでも騒がしい音が聞こえた。
「・・・なんだ? やけに騒がしくなってきたな・・・。」
ルセア「た、戦いの音・・・ではないですか?」
「ではきっとリンディス様だ!援軍を連れて戻られたのだろう!!」
「今こそ、我らも・・・」
兵隊の一人が石の壁に突っ込んだ(?)。よく見ると一個だけ紙で作られた石のようだった。少しゴソゴソすると壁が真っ二つに開き中から沢山の武器が現れた。
ルセア「? な、なにをなさってるんですか?」
「こんなこともあろうかと、カギと武器を隠しておいたのだ。」
ルセア「・・・そうですか。」
「・・・あんたはどうするんだ?」
ルセア「え・・・」
ルセアの主人レイヴァンは私情で敵方に寝返った。もし、ルセアも寝返るというなら場合によってはここで殺しあわねばならない。だが、戦いやレイヴァンの復讐を止めたいルセアは願うように言った。
ルセア「・・・わたしは・・・レイヴァンさまをお止めしたい・・・でも今のレイヴァンさまは、わたしの話など・・・耳を貸さないでしょう。」
ルセアは静かに溜息をついた。
侯爵様・・・不出来な従者をお許しください。
ルセア「・・・ですから・・・ここでレイヴァンさまを・・・お待ちします。戦うことはせず・・・ただここで・・・・・・・・・すみません。」
「・・・わかった。では、これを渡しておく。」
ルセア「これは! きずぐすりと光の魔道書・・・?」
「戦わなくてもいいが自分の身ぐらいは守るんだ。短い間だったが、あんたも仲間だった。死なれると・・・悲しい。」
ルセア「あ、ありがとうございます・・・」
キアランの兵たちは武器を取り鍵を使って戦いに参戦した。
ルセア「レイヴァ・・いや、レイモンド様・・。どうか御無事で・・・。」
「キアラン騎士隊隊長ケント覚悟!!」
斬りかかるラウス兵を軽くいなし胸を切り裂いた。
ケント「貴様らに構ってる余裕はない。」
セイン「だな。」
セインはウィルと組み合っている兵士の背中を一閃した。
ウィル「うひゃ〜。ありがとうございます。」
ウィルは弓を構えなおし一矢で一人を額を討ち抜いてもう一人の胸を狙ったが
【キンッ!】
ウィル「!?」
最後の一人だけは剣で防いだ。
レイヴァン「オスティア候弟はどこにいる・・?」
ここにいる皆が息を飲んだ。他の兵と明らかに殺気が違う。一体、誰が彼をここまで殺気立たせているのだろうか?
セイン「今までと相手がちがうな・・・。」
ケント「知ってて我々がそれを教えるとでも?」
ウィル「俺は援護しますよ。」
レイヴァン「なら無理矢理聞き出すまでだ。」
レイヴァンが腰に背負った剣を手に取った。
ケント、セイン、ウィル「「「行くぞ!!」」」
三人が前に出ようとした時だった。
【ガッ!】
三人とレイヴァンの間に一本の刀が床に刺さった。直ぐにリンが刺さった刀を抜きレイヴァンと鍔迫り合いの状態になった。
リン「ここは私に任せて!」
ケント「!?しかし・・。」
リン「おじい様も大事だけど私達の為に戦ってくれた兵達を助けなければならないわ。それにあなたたちは今回は全力を出せてないでしょ?」
セインとケントは城内戦もあって馬に乗っていなかった。いつもと違うため僅かではあるが差が生じた。
ケント「・・っ!分かりました。」
セイン「でも・・死なないで下さいよ。」
ウィル「じゃあ、俺達は出来ることをします。」
レイヴァンが動けない隙に三人は牢獄へ向かった。
リン「あなた・・・私と同じね・・。」
レイヴァン「・・・・。」
一度お互い離れた。
レイヴァン「女であろうが俺は斬るぞ。」
リン「上等よ。」
刀と剣のぶつかり合う音が聞こえた。