死龍の軌跡
□十六章
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フロリーナ「失礼します。」
争いの後、フロリーナはキアランと契約してリンの家臣となった。リンの大親友である彼女には敬語など支障があるが一緒にいれるなら大したことではない。そんなはずなのにフロリーナの表情は暗い。
リン「フロリーナ・・」
声がいつもより元気がない。そうとうのショックを受けているのだろう。
フロリーナ「リンディス様、ドルカスさんが先程ベルンに戻りました。ルセアさんが探し人を見つけてキアランを後にしました。二人ともリンによろしくと言ってました。」
リン「そう・・」
リンの返事はそっけなかった。
フロリーナ「・・・・・。」
彼女がここまで落ち込んだ原因をつくったのがだれかフロリーナには簡単に想像がついた。
フロリーナ「・・・やっぱり‐リン「その名を呼ばないで!!」!?」
ここまで重症だとはフロリーナ自身も思ってもいなかった。もしここに本人がいたらフロリーナは迷わず彼を串刺しにするだろう(!?)。尤もそこまでしても彼は死なないが。
フロリーナ「リン・・・」
フロリーナが部屋を立ち去ろうとした時だった。
【ガチャンッ!!】
扉が勢いよく開きシルフが息を切らしながら入ってきた。
シルフ「ハァ・・ハァ・・」
リン「シルフ・・?」
シルフが息を切らすのは今に始まったことではない。何かあったのだろうか?そんなことを考えているのもつかの間。
シルフ「兄貴を探しに行ってきます!!」
リンの目が点になる。が、すぐに冷静に戻った。
リン「駄目!!そんな危険なこと・・」
リンは言葉を続けなかった。先にシルフが逃げ出したからだ。
リン「待ちなさい!!」