死龍の軌跡
□二十五章
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港町バトン
キアランの一部であるそこは主に漁業や運搬を中心に栄えていた。
一行は【魔の島】に向かうための船を探していた。昼頃にいるのは漁が終わり少しでも交渉の機会を増やすためだ。
「そんな島なんぞだれがいくかー〜!!!」
エリウッド「も、申し訳ありませんでした・・。」
しかし、交渉はことごとく黒星であった。船乗りは迷信を特に信じる傾向があり帰って来た者はいないと噂される【魔の島】などだれがいこうか。
リン「エリウッドの方は・・・ダメみたいね。」
エリウッド「リンディスの方は?」
リンは首を横に振った。
エリウッド「ヘクトルのほうは・・・。」
ヘクトル「だからよぉ! ヴァロールに渡る船をだしてくれって!」
「【魔の島】へ渡ろうなんておまえさんたち 正気か!?ムダじゃ、ムダ!!あの島へ船をだす者なんてこの町には1人もおらんぞ!」
ヘクトルの方も交渉は絶望的のようだ。ヘクトルは無駄だと悟ったのかこんな提案をした。
ヘクトル「駄目なら仕方ねえ。じゃあ、その代わり他に俺達を乗せてくれそうな奴を紹介してくれよ。」
漁師の男は少し考えた。
「・・・おまえさんはよほどの事情があるようじゃな。・・・・・・一つだけ手がないでもない。」
ヘクトル「何だそれは!?」
「海賊じゃよ。」
ヘクトル「海賊か・・・。」
「そうじゃ、恐れ知らずの海賊どもなら金をだせば【魔の島】へおまえさんたちを送るぐらいのことはしてくれるかもしれん。」
ヘクトル「海賊か、ま、仕方ないか。おっさん、ありがとな。」
ヘクトルは合流したのちその旨を話した。多くが納得する中、一人反論する者がいた。
リン「本気で言ってるの?ヘクトル!!海賊に頼るなんて・・・信じられないわ!」
両親及びに部族の殆どを惨殺された過去を持つリンには耐えられなかった。だが、事情を知らないヘクトルは話を続けた。
ヘクトル「本気も本気なぁ? エリウッド。」
エリウッド「・・・他に道がないならそれしかないだろうな。」
リン「エリウッドまで!見損なったわ・・・私は絶対にいやよ他の船を探してくる!!」
リンはついに飛び出し船を探しに離れていった。
ヘクトル「なんだ、あいつ?」
エリウッドはヘクトルに事情を説明した。
ヘクトル「・・・そうか。俺のところは病死だからわけがちがうよな・・・」
リンの気持ちも分からなくないヘクトルではあるが手段を選ぶ余裕はないので二人だけで海賊達がいるという酒場に向かった。