死龍の軌跡

□十五章
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二人の男が戦っていた。
一人は重騎士の鎧を纏った老兵。もう一人は軽装で青いバンダナをつけた若い剣士。
槍と剣のぶつかり合う音はもう数十分ちかくも続いていた。

【ガキンッ!】

槍と剣は強くぶつかり合うとガリアスは大きく下がった。

ワレス「フン!」

透かさずワレスはガリアスの胸に向かって槍を突き出したが、剣で右にいなされた。

ワレス「むっ!」

槍は剣に対して有利であるがかわされるとがら空きになってしまう。ワレスは体制を整えようとしたが既に首筋に剣をあてられていた。


ワレス「見事・・・流石は【断絶鬼】」

ワレスは戦闘の構えを解き礼をした。同じくしてガリアスも剣をしまった。



ガリアス「いえ・・・俺なんてまだまだですよ。」

ワレス「お主の剣は何処で鍛えたのだ?わしは今まで沢山の剣士を見てきたがお主のような我流の剣術は初めて見る。」

ガリアス「全部実戦で覚えました。なので師匠と呼ぶ人はいません。」

ワレス「実戦?」

ガリアス「簡単ですよ、戦場に放り出すんですよ。それも大軍のなかに一人だけ」

ワレス「何と・・・お主の親は何も言わなかったのか?」

ガリアス「両親はそれに反対して殺されました。」

ワレス「それは済まぬ事を聞いた。ただ、お主はどうだったのじゃ?」

ガリアスは軽く笑うと空を見上げながら言った。


ガリアス「あの時の俺はバカだったんですよ。言われた事を全部鵜呑みにして有りもしない復讐話を信じ込まされたんです。だからどんなに辛くても復讐を糧に戦ったんです。今は復讐なんて考えてませんが。」


ワレスはなんとも言えない表情でガリアスを見ていた。


ガリアス「ワレスさん。頼みががあるんだ。」
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