死龍の軌跡
□十一章
1ページ/5ページ
カトーレ領とキアラン領の国境の宿でリンディス一行は泊まることになった。
というのも【黒い牙】の連戦により体力的、精神的に疲れた者が多数いるからである
そして、疲れを癒すため男女別の湯に入るのであった。
ウィル「いや〜癒されますね」
ドルカス「ふぅ〜」
ラス「・・・・。」
普通に湯に入る者もいる。だが入りながら話をするものもいた。
ケント「ではガリアス殿はあの【断絶鬼】だというのですか?」
ガリアス「まぁ・・そうだな。」
シルフ「【断絶鬼】?」
セイン「最近リキア地方で恐れられた剣士だ。主に暗殺を得意としていたらしいけど・・」
ケント「彼と戦った者は男女関係なく体の一部が切断、もしくはバラバラにされると言われている」
シルフ「うっ・・。」
ガリアス「ケント、子どもには表現がまずいぞ」
ケントがシルフに謝ると今度はエルクが口を挟んだ
エルク「そういえばガリアスは闇魔法も使えるんですよね?」
今度は躊躇わなかった
ガリアス「あぁ、エルクの言う通りだ。」
ケント「何故、我々にその事を黙っていたのですか?」
少し考える素振りをすると
ガリアス「闇魔法はあまり使いたくない・・。凄く疲れるんだ。」
ガリアスがため息をつくと今まで黙っていたルセアが口を開いた。
ルセア「闇魔法は他の魔法と違って己を闇に委ねなくてはなりません。特にガリアスさんの場合は剣も使うので負担がかかるのでしょう。」
シルフ「うへっ、ちょっと怖いな・・」
闇に己を委ねるに反応したのかシルフが少し震えた。
ガリアス「もういいか?」
ガリアスは顔まで湯槽に入れたときだった
ニルス「ねぇねぇ!!そう言えばさぁ!!」
隣の浴槽からニルスが乱入してそのままみんなに尋ねた。
ニルス「ガリアスさんとリン様って結婚してるの!?」
ニルスは決して悪気があったわけではない。純粋な子供心で聞いただけである。
【ゴボッ!】
だが、湯槽に潜ったガリアスには当然ダメージを受けた。
ガリアス「ゲホッ!ゲホッ!」
「大丈夫ですか?」とルセアが背中をさすった。
ニルス「違うの?」
ガリアス「ハァ、ハァ、・・全力で否定する・・。」
シルフ「でもこの前、リンディス様をお姫様だっこしてたじゃん」
ガリアス「少し黙ってろ」
凄みのある口調で話す
エルク「年下相手に情けないですよ」
ガリアス「お前だってセーラと結婚しているのかと質問されたらおこるだろ?」
しみじみと頷く面々。エルクは顔を湯に沈めるのだった